丹羽:それは何かというと、さっき言ったように特にサービス産業の経済の規模が53%ぐらいになっているでしょう。農村の方は逆に経済の規模が落ちているんです。人口構成があまり変わらない。それは相対的に1人頭では、農村が落ちる。

 だけど、それはいずれは相対的に調整されるわけです。ところが今のような経済は、例えばそういう金持ちがますます金持ちになって、それから貧乏人はステイ。そういうときに、トマ・ピケティが言ったように、自然災害が起きません、戦争がありません、そういう世界では資産を持っているやつだけが太る。資産のない人は給料だけなので所得は、下がる。相対的に下がる。

 かくして格差が縮まらない。第2次大戦後は大きな戦争がない。だから第2次大戦後は金持ちがますます金持ちになる。ただ、そんなのは長く続かない。いずれ金持ちがやられるときが来る。それはないと思うけど戦争なのか、自然災害かもしれないし、別のものかも知れない。

 あなたが農民工のことを心配されているけど、世の中はそう心配することはない。

山田:そうですか。

丹羽:いや、農民工は、我々よりももっと心が強い。

山田:そりゃあ、そうですね。

丹羽:あの中で、俺は生活できない。毎日同じものを食べているんだから。日本人は絶対行ってもすぐに帰って来ちゃう。

山田:私は帰ろうにも帰れなかったというのもありますけど(苦笑)。

丹羽:それがいいんだよ。誰も中国の本当の姿が分からない。あなたのように、やっぱり地方を歩かなきゃだめです。

 僕なんかもできるだけ、地方都市にも行きました。あるとき中学校に行ったんです。バスケットボールのボールを20個とか鉛筆とかノートを持っていった。ものすごく喜んでいました。子供たちがわっと寄ってきて、うれしいよね。

 そういうところへ行くと、農民工たちは子供たちも含めて、やっぱり生きる力がある。大丈夫だよ、中国は、と思った。

習近平は話し合える相手

山田:丹羽さんは、地方に行ったらそういった市井の人ともお会いになるし、一方でその省の書記にも会われる。これまで、習近平とか李克強とかにもお会いになっています。丹羽さんから見て、習近平は話し合える相手だというふうに思われますか。

丹羽:もちろん。

山田:私もそう思います。ただ、日本では仏頂面とかが話題になったりする。

丹羽:そんな顔なんていうのは、人間なんぼでも化粧ができる。心も化粧ができる。問題は背中だ。習近平の背中は変わっているか。変わってない。

山田:変わってませんか。

丹羽:要するに背中というのはうそをつけない。顔はうそをつくんだ。だから経営でもそうだけど、社員が社長の顔を見たって、全然分からない。ところが社員は社長の背中を見ている。背中にはあっという間に日ごろの生活態度が出る。

山田:中国側は安倍首相をどう思っているでしょう。

丹羽:こいつはまだ信用できないなと思っているんじゃないですか。何かというと、新聞とか国会で言っていることが全部中国に筒抜け。当たり前でしょう。中国に関する話だって筒抜け。そこで言っていることを読めば、中国を敵視していると思われています。

 だってアメリカにべったり。北朝鮮の問題にしたって、力と力でとかいってるけど、本当に力と力でやってどうするんですと聞きたい。原子力発電所に原子爆弾を落としたら、広島の何十倍の放射能が出るんだ。それが54基もある、日本には。本当に撃ってきたらどうするつもりか。そんなの北朝鮮がつぶれる前に日本人は住むところがなくなっちゃう。だから中国は力対力はだめだと言っている。

 みんな北朝鮮の人が押し寄せてきたらどうするんだということを少し考えたらどうか。アメリカに北朝鮮の人が押し寄せるのには、ものすごく時間がかかる。あんなぼろぼろの木船じゃなかなか行けません。ところが日本には簡単に来られるじゃないか。

 だから周恩来が言うように、和すれば益、争えば害ということ。やっぱり両国が仲良くやるしかないでしょう。

山田:そうですね。