とにかく中国に行くべき

丹羽:もうとにかく一人ひとりができるだけ中国に行きなさい。LCCなどの安い飛行機もあるし。100年前の中国人を思って、あいつらは汚いとか。そんなことばっかり言っていて。中国人にしても100年前の日本人を思って、日本人は怖い、後ろから切りつけるとか。お互いが昔の名前で出ている。

 今の名前でお互いが出ていけば、いいんです。若い人があっという間に仲良くなるのはそこなんですよ。

 僕は、重慶などいろいろな地方都市へ行くたびに、日本の留学生で来ている人がいますかと聞くんです。そして何人かと話しをします。ある留学生が、「留学に行こうとしたら、お父さんもおじいちゃんもみんな大反対したんです。あんなうそつきがいて汚いところで何を勉強するんだ。勉強するようなものが中国にあるわけないだろう。しかしどうしても中国の歴史を知りたいので来ました」というんです。それでどうなのと聞くと、いやなことは1回もないと答えました。お世辞を言ってるんじゃなくて、彼は来てよかったと思っている。

 南京に行ったときは、南京に長期で滞在している人に集まってもらった。そこでも、嫌なことが何かあるかと聞いてみたんですが、ないと言うんです。そんな遠慮しないでと言っても、本当にないと言いました。

 車を走らせるときには、役所の連中が、「大使、日本の国旗を立てて走らないでください。南京市は危ない」と言うんです。何が危ないの、俺は何も悪いことをしないよ。おじいちゃんやおばあちゃんがやったかどうか俺は知らないけど、俺は何もしてない。今は時代が70年も80年も経っているんだからと国旗を立てて走ったんです。何も起きません。

 それで、向こうの役人に会うと途端に聞いてくるんです。南京大虐殺記念館に行きましたかと。私は2回行きました。行ってないということを想定してるんです。何を恐れおののくことがあるのか。私は瀋陽だって記念館に行ってきた。そして、日本人は昔は悪いことをいっぱいやっている。だが、逆にそんな日本人の悪いことばっかり表に出して、あなたはそれで日中友好なんておかしいじゃないかと。そういう文句を言うんです。

 それでも、中国の人はそういうふうに言ってくれる人を信用する。むしろお世辞ばっかり言っている人は信用しない。だから私が向こうで言ってもインターネットで炎上しないんです。

 ところが日本に帰ってきてやってごらん。何か言えば、ぎゃーって叩かれる。もう日本の方がずっと言論統制、総合的に見るとメディアも含めて言論に対してやっぱり抑圧的です。中国の方が、僕らが言いたいことを言っても、あいつは本当のことを言うとなれば文句を言いません。

 いつも批判ばっかりしているとあいつはと言われるけど、褒めるところは褒めて悪いところは悪いと言う。中国人に対して、日本人には20年間は絶対勝てないよと言ったって中国から批判はありませんでした。

中国も独裁ではいられなくなる

山田:丹羽さんは書籍でお書きになっていますが、中国は独裁ではやれなくなっていく日が間もなく来るだろうと。

丹羽:絶対来る。ユナイテッド・ステイツ・オブ・チャイナだ。

山田:今、そこへの道筋を習近平がつけているとお考えですか。

丹羽:2049年を狙っているね、彼は。建国100周年を狙っている。共産党設立100周年は2021年。習近平は2022年まで国家主席をやる。だから建国100周年のときには貧困率をぐっと下げて、そのために給料も倍増する。

山田:簡単なことじゃないですね、でも。

丹羽:だけど、倍増は全員じゃないよ。相対的なものだから2:6:2です。どこまでいったって下の2があるんだ。

山田:だからそこの2が僕はやっぱりちょっと心配ですね。というのは、農民工の人なんかで2~3年前より稼げなくなっていますよ。お給料が下がっています。