丹羽:それはその通り。そこにはやっぱり文化の違いがあるから、こいつらはばかか、こんなことをやっているのかと思うのは間違いです。生まれたときからやっているので、それは日本から見ればおかしなことと思えても、中国からすれば習慣なんだ。

 日本人だって中国人から見たら、何でこんなくだらないことをみんながやっているんだということあるでしょう。何で日本人はサービス精神が旺盛なんでしょうと。いつも丁寧にお茶を出したり、ありがとうございますとみんな優しく言ったり。どうして中国人はやらないんでしょうね、という質問が多い。

 要するに日本人は争いが嫌いなのです。人といさかいしてまで反対意見を述べるということが嫌いなんです。だから、できるだけ人当たりがいいことをやるわけ。ところが、家の中だとまた違うんだ。ただ、性格的に言えることは、日本人は争いが嫌いだからいつもあいまいにして、仲間内でも「そうね」とニコニコする。中国人と話してもニコニコする、アメリカ人と話してもニコニコする。

 実はこんな不気味な民族はいない。だって何を言ってもニコニコ。お前は俺をばかにしているのか、こんなまじめな話で、ニコニコするようなことじゃないだろう、もっと怒れと。海外の人からするとそうなる。そういうことだから誤解される。

 そういうところがあるから、やっぱり文化というものを考える必要がある。

山田:そうですね。

丹羽:中国の人で日本人が怖いという人もいる。日本人といえば侵略者のイメージを持っているご老体の人については、特にそうだけど、若い人同士はそう思ってない。

日本人が中国人にばかにされる時代も?

山田 泰司

山田:その話で思い出しましたが、丹羽さんは書籍の中で、前の習近平政権のときには知日派が多かった。ただ、アメリカと中国の関係の方が濃くなっていって、知日派がどんどん少なくなっていると書かれていました。

丹羽:それはそうですね。だって日本人が海外へ留学している数も激減しているじゃないですか。そんなことでうまくやっていけることはあり得ません。日本よりも中国の方が圧倒的に多くの人がアメリカに行っている。米中関係はものすごく奥深いです。

 留学生の数でいえば、日本は中国の10分の1どころか、50分の1ぐらいになっているんじゃないかな。ハーバード大学では、毎年4500人ぐらいの学生がを海外から入学しているんだけど、日本人は多いときで10人ぐらい、悪いときはたった1人。中国は500人ぐらい。それが何年も続いている。

 それで、日本とアメリカが中国とアメリカ以上に仲がいいなんて、そんなことはあり得ないじゃないですか。圧倒的に今、中国ですよ。

山田:なるほど。

丹羽:自転車のシェアリングとか、中国はいろいろなことをやっています。キャッシュレスで決済できるようにするとかも早い。ところが日本人はちっともそれが進まない。宇宙の技術とかコンピューターとかでも、圧倒的に中国が優れている。このままいくと日本は本当に負けます。

 庶民はそんなのはあんまり気にしていない。だけれども、それを知ったら、何だよ、日本ってと感じるでしょう。日本人というのは中国の人から見るともっと優れていると思っていたら、そうでもない、と思うでしょう。

 どこかに書いてあったんですが、中国人の方が体が大きいから、中国人が日本のホテルに行って足を伸ばすと足がベッドから出ちゃうんだと。それから天井も低いでしょう。彼らは何か小さなところで日本人がごちゃごちゃやっているなと感じている。

 彼らはやることがでかいじゃないですか。ものすごく高いビルを造ったり、柱の大きい建物を建てたりする。あれ、日本人にはできないです。そうすると今に、中国人に日本人がばかにされる時代が来るんじゃないか、と危惧しています。

山田:上の方の意思決定するようなところに影響がある方々、また経済界でもトップの方々で、中国を知る人材が少なくなっている。また中国でも日本を知る人材が少なくなっている。丹羽さんは、そういったところで危機感を覚えてやっていらっしゃることはありますか。