世界に自分の立場を置けるような思考を

山田:確かにこの数年の爆買いブームなどで、日本に来る人が増えていて、実際に中国人を自分の目で見て、印象が変わったとかは確実にある。それは間違いないんですけれども、根本的な見方が変わったかというと、それはない。

岡本:ただ印象が変わっただけでというぐらいなレベルですよ。そういうところを我々がどうわきまえるかというのが実はとても重要で、やっぱり日本人自身の、たぶん考え方の持ち方とか、そういうのがむしろポイントなんだろうなと。

山田:そうですね。好きとか嫌いとか、そういうところから離れて一歩引いたところで、まず相手を見ようよ、相手を知ろうよ。そこからはじめようと。

岡本:私がこうやって本を書いているのも、ちょっとでも関心を持ってくださる方にはきちんと情報を供給しないといけないかなと思っているからです。

山田 泰司氏
山田 泰司氏

山田:日本人は歴史好きな人が多いですよね。

岡本:そうですね。ただ、歴史好きでも単に普通の小説好きでも構わないのですが、例えば自分たちと違う世界に自分の立場を置けるような思考を養ってほしいですね。そういうことが考えられて初めてグローバル化に対応できる人間だろうという気がします。どんどん日本人は内向きになっているような気がするので、そこは大丈夫かな? と思うんです。

山田:中国のことでいうと、若い人の中ではネット中心なんですけど、今年、「深圳すごい」というのがありましたよね。かいつまんで説明すると、それまで中国に縁のなかった20代の日本人の書き手が、イベント取材か何かで初めて深圳を訪れて圧倒され、「林立する超高層ビルの間を電子マネーが飛び交う近未来的な街で、若者が夢を抱きながら生き生きと働いている。それに比べて俺たち日本の若者は死んだような街で死んだように働いている。こんな国にしたオヤジどもよ、一体どうしてくれるんだ」と書いた。そうしたら、あまりにも単純で中国の一面しか見ていないと、どちらかといえば叩く意見が多かった。

 ただ、とっかかりはそれで十分だと思う。日本の報道だけ見ていて「中国怖い」で止まってしまうだけよりは、そうやって関心を持って、感情を動かしてくれる方がはるかにいい。さっきも言いましたが、好むと好まざるとにかかわらず、隣人で、ものすごい影響を受けるのですから。

 今、日本に留学に来る中国の若者も増えていると思うのですが、どのぐらいのレベルの家庭の人が多いですか。

岡本:大きい大学ですと、留学生の交換制度とかもあったりしますが、我々の規模の大学ですと単発的な感じです。ただ、人数はそれでも増えていますね。やはり裕福な学生しか来られないですよね。

山田:中国に戻ると、日本の専門家になるというよりは、ビジネスの世界で日中の架け橋になる感じでしょうか。

岡本:どうなんですかね。例えば、私のところに来て、日本に住み着いて、日本人と結婚。それで中国にかかわる仕事をしているという人はいます。馬力がありますよね、そういう人は。

山田:逆に日本人で中国に留学する学生はいますか。

岡本:専門でやろうという人の留学は、最近やはり増えてきました。制度がやっと整ってきたというのがあると思います。

次ページ 「中華人民共和国」は全部日本語