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岡本:日本は言葉にしても、物の考え方にしても昔からそうですけれど、世界の孤児なんですよ。そこを誤解している方が多い気がします。俺たちは西洋化していて、西洋のことをよく知っていて、だから西洋人と仲がいい。日本はアジアにあるから中国人と顔も似ているし、同じ漢字を使っているし、中国とも分かり合える。みたいなことを言っていますけれど、よくよく考えてみたらどっちでもないので、そういう意味では日本の置かれている位置というのはそもそも危ない。

山田:ちょっと孤立気味だというのは分かっていますかね。

岡本:どうだろう。せめて政府の要人とかはちゃんと認識した上で誤らないように動いてほしいと思うんです。そこがすごく難しいですし、あとマスコミもなかなか大変かなという気はしますので。

やってみたら面白かった中国研究

山田:ところで、先生はそもそもなぜ中国の歴史を学ぼうとされたのでしょう。

岡本:昔から歴史が好きだったのです。そもそも歴史が好きだというだけで、普通からすると若干おかしい人なんですけれど、歴史が勉強できたらどこでもよかったみたいなところがあったんです。中国なんて初めから思ってなかった。

山田:そうなんですか。

岡本:日本の戦国時代とか、あるいはドイツの騎士道とかああいう勢いのあるところに憧れるところはありました。先ほどお話ししていたように、『三国志』は好きでしたから、中国も考えなくはなかったんですけれど、どちらかというと二の次、三の次でした。

 ただ、語学が全然できなかったことが1つあって、漢字だし楽かな、って勘違いしまして、中国語を学んだ。歴史をやって、中国語もやって、しょうがないから中国史かな、みたいな。それだけのことだったんですね、初めは。

 ただ、中国の歴史はやってみるといろいろ面白い。最初はアヘン戦争を勉強していました。するとイギリスと中国とで、言っていることが違うんです。資料とかを見ていると、当たり前ですけどイギリスは英語で書いてあって、中国は中国語で書いてあって、訳すんです。どう考えても合わないんですよね。同じ事実を述べているとか、あるいは同じ事柄を言っているのに合わない。

 自分が理解できていないんじゃないかなと初めはすごい思い悩みました。ある時に悟ったんです。「そうか、この人たち、もともとの考え方が違うんだ」と。だから、「こっちの人はこう言うけどあっちの人はああ言って、そこでもめているんだな」とか。または「ここをこう違うように解釈することで、トラブルを避けているんだな」とか。いろいろなことがそれで解けるようになってきて、少し楽になって、面白くなってきました。

山田:厄介だけれどやってみると面白いということですよね。