山田:今、星野さんが言ったみたいに、関心なかった人が最近の中国を見て脅威に思って、理解不能で、何だ何だと怖がるというのはとてもよく分かるんです。ただ、そんなことを思う必要はまったくなくて、例えば一帯一路とか21世紀のシルクロードを築くとか言ってますが、あれは国の中だけで支えていけなくなったから、外に広がって稼ぐところを求めているだけ。
星野:活路を求めてるんですよね。それを中国が違うふうにパッケージして宣伝していて、みんなだまされちゃっている。
山田:本当にそうなんですよ。日本のマスコミもその通りに伝える。
星野:誰も中国を理解なんかしようとしていないんです。
山田:そういうことですかね。なぜあれを脅威に思うのかというのは。
日本人は名誉白人の勘違い

星野:それと、例えば韓流ドラマとか韓国の映画とかを見ていても思うのですが、韓国と中国と香港の芸能界って、みんなアジアで頑張ろうといった感じで、すごく活気がある。資本も行き来して、韓国の俳優もすごく中国で人気があったりして。そこに日本だけいないんです。自分たちはそこに入るようなレベルじゃないと考えているみたいに。自分たちはカンヌやベネチアとか行くので、アジアはけっこうです、みたいな。自分たちは名誉白人、アジアではトップという感覚が、どうやっても壊せない。
山田:何かそう言われてみると、北野武のオフィス北野が中国の監督ジャ・ジャンクーの作品に協力したり、宮崎駿がアニメを描きたいと中国から来た人を、やってみろと事務所で働かせたりとか、この2人は違う気がします。
星野:彼らは世界を知っているからでしょうね。実際、マーケットの大きさを考えたら、賢い選択だと思います。
山田:本当ですね。あとはやっぱり中華料理はおいしいじゃないですか。そういうことに対する、リスペクトも中国に対してはちょっとなさすぎる。
星野:ギョーザとかラーメンが好きで、どうして中国を知ろうとしないのか。本当に理解に苦しむ。
山田:ある程度、好き嫌いで単純化しちゃうのは仕方ないとは思うけど。ただそればっかり過ぎる。そう思います。
星野:それと最近は急激に日本人が自信をなくしているように思います。転げ落ち方がすごく急だから、内にこもっている感じ。
山田:テレビ番組でも、「日本人、ここがすごい」みたいな番組が4~5年前から増えている。ようやくここに来て、少しそういう番組が多すぎるんじゃないかみたいな声が少し出てきたけど。
星野:観光客が今、急に増えてきていて、「やっぱりみんな日本が好きなんだ!」とか言うじゃないですか。実態は単に安いからだと思うんですよね。どうしてそこがそっちの発想になっちゃうのかなと憐れに思います。
ただ、中国の人も日本のことをやっぱりゆがんで知っているでしょう。だから、いいところも見てほしいし、すごく嫌な思いもするだろうけど、そういう経験を重ねて、日本を彼らの側からも理解してもらいたいなと思っています。
山田:口幅ったいことを言うと、ここ15年ほど、中国のこと嫌いという人が圧倒的に多くなってきた。ただ、そういう好きとか嫌いとかはいいから、いったん置いておいて、この人間の生き様を見てくれよというところで、今回の本も書いたつもりなんです。
星野:中国って、行くとその人たちを好きになりませんか?
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