今回から2回に渡って、作家の星野博美さんをお招きして対談を行った様子を紹介する。星野さんは、『転がる香港に苔は生えない』(文春文庫、第32回大宅壮一ノンフィクション賞受賞)で香港在住時の体験をつづったり、『謝々!チャイニーズ』(文春文庫)、『愚か者、中国をゆく』(光文社新書)で中国旅行の話を紹介したりなど、中華圏に関する多くの著書を持つ。

 実は、星野さんと筆者は約20年近くの付き合いになる。私が、香港在住時に勤めていた邦字紙に、やはり当時は香港に在住していた星野さんに連載を依頼していた。またその後も、中国情報を日本に伝える月刊誌の編集長を務めていた際に、連載を始めてもらうなど、とてもお世話になった方だ。

 今回、『3億人の中国農民工 食いつめものブルース』を上梓したのを機に、ノンフィクション作家の大先輩にあたる星野さんとの対談を企画。星野さんに今の中国に思うことや日中関係に対して感じることなどについて聞いた。

星野 博美(ほしの・ひろみ)
1966年東京都生まれ。作家、写真家。『転がる香港に苔は生えない』(文春文庫)で第32回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。『コンニャク屋漂流記』(文春文庫)で第2回いける本屋大賞、第63回読売文学賞「随筆・紀行賞」受賞。その他の著書に『謝々!チャイニーズ』(文春文庫)、『銭湯の女神』(文藝春秋)、『のりたまと煙突』(文藝春秋)、『島へ免許を取りに行く』(集英社)、『戸越銀座でつかまえて』(朝日新聞出版)、『みんな彗星を見ていた』(文藝春秋)、写真集に『華南体感』(情報センター出版局)、『ホンコンフラワー』(情報センター出版局)などがある。最新書は『今日はヒョウ柄を着る日』(岩波書店)。(写真=深澤明、以下同)

山田:今日はよろしくお願いいたします。

 星野さんの著書は、星野さんにもらったり、また自分で買ったりして読んでいました。ようやく私の方からも送ることができる1冊ができてホッとしています。読んでいただけましたか。

星野:拝読しました。中国も、私が知っている時代とちょっと変わってきたなというのは感じました。都市では、農民工をもう受け入れませんと書かれていましたね。都市では飽和状態になっているんでしょうか?

山田:そうですね。非常にそれが顕著になってきました。

 私は1997年に星野さんと香港で知り合いましたが、そもそも星野さんが中華圏に関わり始めたのは、もっと前ですよね。

星野:私は、もともと子供のころから中国が好きでした。ちょうど6歳のときに日中の国交が正常化しました。その後、中国残留孤児の初めての来日があった。そういうのに感動していました。

 そのあと文化大革命が終わって、四人組裁判が始まり、中国が外国人に少しずつ開放され始めました。NHKでシルクロードの番組をやったのですが、それを見て中国にあこがれちゃったんですね。漠然としたあこがれだったのですが、それで大学に入ってすぐに初めて中国に行って、「やっぱり中国は素晴らしい」と思ったんです。

山田:それはいつですか?