山田:おっしゃるように、これまではスクラップ&ビルドを永遠にやってきたのですが、もうそろそろ本当に無理だろうというのがいろいろなところで出てきている。

川島:出てきていますよね。明らかに。例えば、高速鉄道の路線も作るところがなくなっちゃったし。

山田:そうなんですよ。

不満がたまり始めた中国の中産階級

川島:気が付いたらほとんどのところに高速鉄道の路線を作った。80兆円の負債が残っているらしいんだけど、誰が払うんだろうね。それに高速鉄道は乗っても空いていますよね。不採算路線みたいなのがいっぱいできちゃっている。そういうことも伏せられているんですね。どういう収益になっているかとか。

 話を戻すと中産階級が持っている不動産が売れない、例えば自分が病気になってお金が必要だから売ろうと思っても売れない。そうしたら一銭にもならないわけです。また、息子、娘に関してはお金をかけて日本に留学させて修士を取らせても、有力な企業にはいけない。おそらく、3年ぐらい日本にいたら、1000万円ぐらいかかるでしょう。でも、勤める企業は、月収1万元くらいと言っていますね、よくて。17万円の月収ですよ。

 自分はマンションが売れなくて、子供の就職先にも満足していない。習主席のことをみんなで崇めていても、これはちょっとおかしいよね、と思ってくる。今まではイケイケどんどんで豊かになれた。特に今の50代だと文化大革命を覚えていて、芋とかを食べていたから、ちょっと前までは、綺麗な家に住めるだけで満足だった。でも、その中産階級にも不満がたまっている。

山田:子供を東大に留学させられる人の年収は、どれぐらいなんでしょうか。

川島:だいたい2000~3000万円ぐらいじゃないのかな。

山田:私は上海にいて、確かに不動産の転売禁止だとかいろいろあるんですが、彼らの羽振りを見ていると、2000~3000万円という数字より、もっといいような気がするんです。この財源ですが、1つには自分の土地が再開発地域だったらものすごい額が手に入りますよね。一夜にして本当に億万長者になった人はごまんと周りにいる。それを見ていた人たちは次は自分の番だと思っていたものの、今はひょっとしたら回ってこないと思い始めている。

川島:そういうことだよね。だから親は豊かになったけど、子供たちにはもう回らない。ただ親がいっぱい持っているからいいやと思っている部分もあるよね。明らかに成長は止まりましたよね。

山田:そうですね。だからさっき言ったようにもうスクラップ&ビルドで自転車操業は限界だけど、じゃあ、その限界がいつ来るかというと、なかなかそこの予想というのが分からない。

 最近『ニューズウィーク』で、「中国予測はなぜ間違うのか」という特集を掲載していました。1990年代の初めごろ、具体的には鄧小平の「Xデー」が取りざたされはじめたころから、中国はいつ崩壊するかというのをずーっとやっていますけど、いまだに崩壊してない。周りを見ていると、都市部の人たちだけでいえば、特に上海なんかはまだちょっとお尻に火がつくというところまでは来てないですよね。

川島:私もそう思います。

(以下、明日公開の3回目に続く)