サラリーマンの平均月収は7599元だが……

 中国の求人情報サイト「智聯招聘」が2017年10月に発表した「白領」(ホワイトカラー)の平均月収は全国37都市の平均で7599元。1元=約17円だから、約13万円ということになる。トップは北京の9900元、2位は上海の9365元、3位は深センの8666元で、37都市の中で最下位は黒竜江省ハルビンで6004元だった。ホワイトカラーといっても最近の日本の若い世代にはもはやピンとこないかもしれないが、都会でスーツを着て会社勤めをするサラリーマンのこと。すなわち、日本人がイメージする典型的な中間層ということになる。

 この統計が示す層に属する中国人のサラリーマンを、私は上海で大勢知っている。ただどうも日本で言うところの中産階級の上を行く水準の生活を送る人が少なくないのだ。

 一例を挙げよう。上海出身の50代前半の男性。10年前に中古で買った上海市内の持ち家のアパート(80平米)に再婚した1つ年上の妻と2人で暮らしている。外資系出版社に勤める20代半ばの1人娘は去年結婚した。彼は上海一の名門、復旦大学を卒業後、出版社やメーカーで月刊誌や社内報、会員誌等の編集をしてきた。数年勤めては転職を繰り返してきたせいか月給は9000元で、まさに先に紹介した上海サラリーマンの平均値だ。東北地方出身の妻は銀行の早期退職制度を利用して30代で退職し、月々約4000元の年金をもらっている。つまり世帯収入は1万3000元、日本円で22万円程度ということになる。

給与所得の2~3倍の不動産収入

 この夫婦が、夫が休みを取りやすいこともあり、2カ月に1度の割合で海外旅行に出かけるのだ。昨年はオーストラリア、ロシア、デンマーク、ニュージーランド、イタリア、ドイツに行った。旅程はそれぞれ10日前後で格安の弾丸ツアーではなく、宿泊も4つ星以上のホテルだ。上海にいる時はいる時で、夕食は2日に1回は2人で5000~1万円程度の店で外食している。

 なぜ彼らの旅行のグレードや食事の値段を知っているのかというと、訪ねた先や食べたものの写真を逐一SNSに上げており、私はそれを歯ぎしりしながら眺めているからだ。どちらにしても、世帯収入20万円の夫婦の生活レベルではない。

 これができるのは、住んでいる家のローンを払い終え住居にかける支出がゼロだということ、そして、給与所得以外に不動産収入があること、この2つが大きい。彼の場合は、既に亡くなった両親がそれぞれ現役時代の勤め先から実質無料で支給された不動産を遺産として受け継ぎ賃貸に出している。具体的な額を彼は教えてくれないが、物件がある場所から見て、夫婦の世帯収入の最低でも倍、下手をすれば3倍あってもおかしくはないと私は踏んでいる。家賃なし、教育費なしでも夫婦2人で月20万円の収入なら年6回の海外旅行と頻繁な豪華な食事といった生活が送れる彼らに「なぜ???」と頭の中が疑問符だらけになる。ところがこれが月60万~80万円なら一転、納得がいく。

 そして中国の都市部、とりわけ北京や上海等の大都市では、彼らのケースは特別ではないのだ。

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