また香港に隣接する広東省の経済特区・深センでは昨年12月27日に、全市の路線バス1万6359台すべてをEV化したと、同市政府の交通運輸委員会が表明している。これを報じた同日付の中国メディア『新浪科技』によると、深セン市は2009年、中国政府が選定した新エネルギー車導入のモデル都市13市の1つとして路線バスのEV化をスタートし、わずか8年で全路線バスのEV化を成し遂げたという。

 中国の路線バスEV化は深セン以外でも猛烈な勢いで進むと見る向きが多い。『ブルームバーグ』は2018年2月1日付で、ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスの調査として、2025年時点でEV化される路線バスが世界で120万台に上り、うち99%は中国を走る路線バスになるとの見通しを明らかにしている。

EVバスに乗車

北京を走るEVバスには、電線から電力をとって走る昔ながらの無軌電車(写真)と、完全な蓄電池タイプの2種類がある
北京を走るEVバスには、電線から電力をとって走る昔ながらの無軌電車(写真)と、完全な蓄電池タイプの2種類がある

 中国では1980年代でも既に、電線から電力をとって走る「無軌電車」と呼ばれるトロリーバスが走っていた。北京や上海では今日に至るまで現役である。よって、私が普段生活している上海では、トローリーバスに頻繁にお世話になっている。現在、北京ではこのトローリーバスに加えて、都心部ではまだ台数が少ないもののバッテリー式のEVがちらほらと走っている。

 そして今年の1月末、私が低所得層の強制立ち退きがあった北京新建村に向かう際、同村の最寄りの地下鉄駅から乗った路線バスはバッテリー式のEVだった。

 バッテリー式のEVに、これがEVだと意識して乗るのは初めてだった。加速は滑らかで乗り心地はよい。乗用車ではEV未体験だが、同じような乗り心地なのだろうか。そしてお喋り好きだが乗り物の中では意外なほど静かな中国人は、走行音が静かなのにつられるのか、ガソリン車のバスよりもさらに押し黙っている。

 そんなことを考えながら揺られていると、バスは地下鉄駅から市街地を抜けて30分ほど走り、空き地だらけになってそろそろ着くかなというところになって、停留所でもないのに突然止まった。

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