
家田:物流の仕組みさえ整えば、農村でもどこでもできます。できるかどうかという判断も、ちゃんとデータが決めてくれると思います。ここはこのぐらい住民がいて、タオバオでこれくらい物を消費しているから、店舗を置いたとしても儲かるとか。
山田:誤解を恐れずに言えば、タバコを売っている人って、規模の大小は多少あるけど、ほかに選択肢ないからタバコを売っているか、あるいはあまり働きたくないか、どちらかの人が多いような気がします。収入でいえば低層に属します。その人たちを救おうという発想なのかな。
家田:小売りの世界観を、アリババはインターネットから変えようとしています。また、京東集団(JDドットコム)も同じ発想でたぶんやるだろうというのが、中国の一番大きなトレンドなのかな思います。
山田:タバコを売っている人自身も歓迎しているのかな。というのも、自由はなくなりますよね、確実に。
家田:自由を取る人は自由を取るだろうし、自由よりもある程度安定的な売り上げが欲しいという人はそっちの方向にいくかもしれない。
山田:自由がなくなると、言ってみたら、本当にそれは新しい中国ですよね。ぼーっとしている人が少なくなっているのが最近の中国でしょう。
僕が留学したころなんかは、本当に道ばたでぼーっとしている人がいましたよ、たくさん。あの抜け具合が中国のよさでもあったんだけど、本当にぼーっとできない。だからお金はもうかるかもしれないけど、ぼーっとする人がいなくなる中国は、間違いなく新しい中国。そういう意味でもちょっと変わりますね。息苦しいね。
中国像を1つにまとめたがる日本
山田:まだ具体化していないかもしれませんが、どんな関係で起業をしようと思っていますか。
家田:自分が生活していて、これが欲しいなとか、こういう空間が欲しいなとか、そんな思いをベースに起業したいです。例えば、今だと、日本のように1人でご飯を食べるところが少ないんじゃないかと感じてます。
今までの中国は、家族で食べるのが中心だから、そういった業態はできないといわれていました。でも結婚というのが一種のゲームみたいにどんどんなれば、あまり望まない結婚なんかが増えて、家に帰る前に一服する時間が欲しい人も増えると思います。1人でくつろげる時間みたいなものは、もっと中国にはあってもいいかなと思うので、もし中国に起業するならそういう業態を開発したいです。
大きなメインストリームにならなくても、そういう感情を持つ人が少しでもいれば市場としては成り立つと思うんです。日本のメディアの発する中国像って、何かを1つにまとめたがるじゃないですか。絶対それだけでは語れないはずなのに。「中国人」はそういう食の取り方をするからこういうものははやらないとか。そっちが多いかもしれないけど、一部の人は違う。その一部が巨大なマーケットかもしれない。
山田:一部だけでも数千万人かもしれない。同じ中国といったって東北の黒竜江省と海南島では違うしということですね。中国というくくりで考えると、とても難しくなっちゃいますね。
今日はどうもありがとうございました。
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