自国の文化、史跡、習慣等を外国人に絶賛させる番組は中国でも早くから盛んに作られている(写真:Imaginechina/アフロ)

 この1年ほど、2カ月に1度のペースで日本に帰国している。時計代わりにテレビをつけておくことが多いので、日本のテレビ番組を目にする機会も増えたのだが、外国人に「日本のここがすごい」ということを語らせるテレビ番組が増えたんだなあということに改めて気付く。

 例えば映画であれば、「ブラック・レイン」でイギリス人のリドリー・スコットが描いた大阪や、「WASABI」でフランス人のリュック・ベッソンとジェラール・クラヴジックが表現した東京が、日本人の私の目に新鮮に映ったように、外国人の視点で描く日本は、日本人では気付かないことも多く興味深い指摘ももちろんたくさんある。ただ、それら昨今のテレビ番組の大半が、「日本はすごい」という、あらかじめ用意された結論に向かって作られ、しかも作っているのが日本人自身だということに、私は居心地の悪さと白けた気分を感じてしまう。ただ、これだけ類似の番組が多いということは、私の意見は少数派なのかもしれない。

「自国はすごい」は中国の方が早かった

 私が少数派かどうかはさておき、日本人はすごい的なモノの隆盛をみるたび、「最近なんだか、日本と中国は似てきたぞ」という思いを、私は新たにするのである。なぜと言って、30年も前から、外国人に「キミの国はすごいね」と言わせるテレビ番組で中国は溢れかえっているからである。

 番組の内容は単純で、観光客や中国語を流暢に操る外国人が、訪れた万里の長城や天安門広場、桂林等の観光地で、あるいは茶芸(茶道)や書法(書道)など中国の伝統文化を体験しに訪れた教室で、あるいは四川料理や広東料理のレストランで過ごす様を取材し、「中国はすごい」と語る様子を映すというもの。統計を取ったわけではないので正確な数字は知る由もないが、感覚的には毎日、このような番組をどこかのチャンネルで放映しているという印象がある。

 万里の長城や天安門広場のスケールの大きさに感動し、広東省でよく飲まれる水仙茶の優しい味わいに心和み、四川料理のしびれる辛さとうまさに震えたことのある私は、上に書いたような中国のテレビ番組が紹介する中国の文化、歴史、料理、芸術、土地が素晴らしいということには同意するし、尊重もするし、もちろん興味もある。ただ、外国人にすごいと言わせる中国のテレビ番組を観たことがきっかけになって、中国の文化や土地等に興味を持った、という経験は一切無い。中国のすごさを語る外国人の裏に作り手である中国人が透けて見えてしまって、白けてしまうのである。自画自賛も聞いていてあまり気持ちのいいものではないが、外国人の口を借りての自画自賛は、なおさら気恥ずかしい。だから中国で初めて生活した28年前、「なんでこんな番組ばかりやってるんだ。中国のテレビはつまらないな」と思ったのだが、まさかその数十年後、日本でも同じような番組がここまで増えるとは思わなかった。