この春節、私が訪れた安徽省の農村部にある石畳が美しいある古村落では、自宅の目立つところに習近平国家主席のポスターを貼っている家が目立った。どこで買うのと尋ねると、村の書店で売っているとのこと。この様子を見て私も、「農村では習近平に対する個人崇拝が進んでいるのかな」ということがチラリと頭をかすめた。ただ、その村に住む20代の友人は、「お正月に指導者のポスターを買って飾るのは特に珍しいことではない」と言う。そうなのか、でも、日本に安倍晋三と夫人のポスターなんて、書店はおろかどこにも売ってないよと話したら、彼女は「へえ、そうなの」と、とても意外だという顔をしていた。

春節の農村部で多数見かけた習近平夫妻のポスター

 中国人の自宅に国家主席とファーストレディーのポスターなどがペタペタと貼ってあるのを見ると思わずギョッとしてしまうが、話を聞いて実態を知ると、特に意味があることではなかったりもする。何をもって中国を理解するかというのは、なかなかに難しい話である。

去年の11月から急減した仕事

 さて、春節を目前に控えた1月末のある日。「明日帰省しちゃうからその前にウチにゴハンを食べに来て」と同世代の友人夫婦が誘ってくれた。安徽省の農村から上海に出稼ぎに来ているハンさん夫妻である。夫は再開発に伴う建物の取り壊しの現場で肉体労働、妻は富裕層から上位中間層の家で家政婦をしている。

 彼らに会うの3カ月ぶり。昨年10月に結婚した次男夫妻に子供ができたと嬉しいニュースを聞かせてくれたのだが、どことなく浮かない顔をしている。次男の嫁を「ちょっとかんしゃく持ちね」と評していたので、嫁姑問題でも勃発しているのかと尋ねると、「そんなことじゃないよ!」と笑いながら手を振り、しかしすぐに笑顔を引っ込めて、「仕事が減っているのよ」と言う。

 ハンさんは、息子が結婚するのでその準備に1カ月ほど仕事を休んで帰省した。働きぶりが真面目で料理も上手なハンさんは売れっ子で、多いときには固定客だけで8軒を掛け持ちし、1カ月に過去最高で1万元(約18万円)、平均でも8000元(15万円)と、大卒サラリーマン顔負けの月収を稼ぎ出している。