ただ、(3)を行う無許可の運転手が本当に儲けを出していないか、というと、そこは極めてグレーである。3カ月前から会社への行き帰りに同じ方向に出勤する客をほぼ毎日乗せているという男性は、「値段交渉はアプリでするが、客が同意すればいくらでもかまわない。こちらとしては、ガソリン代が少しでも浮けばいいな、ぐらいの感覚だが、『タクシーに乗るより安ければいい』という客もいるから、その時は確実に儲けは出る。また、客を2人同時に見つければ客の頭数だけでガソリン代を割ってくれることが多いから、こちらは会社までの交通費が浮くので、実質的に儲けが出ることになる」と話す。

 上海でタクシー運転手歴25年というベテランに、通勤の行き帰りに客を運ぶ個人の出現で商売に悪影響は出ているかと尋ねると、「上海では、無許可の個人が儲けることが正式には認められていないので、目に見えるような影響はまだ出ていない。ただ将来的に解禁されたらもちろん、影響は出るだろうね」と警戒する。

セダンを呼んだら市バスが来て仰天

「命が惜しければ白タクに乗るな」と呼びかける標語(上海市内)

 私は仕事と生活の基盤を上海に置いているのだが、タクシーよりいくら安いと言われても、ライドシェア、とりわけ無許可の個人が運転する(3)のサービスを利用する気にはなれない。中国では白タクの被害が後を絶たないからである。

 上海で、少し交通量の多い交差点に立ち、周囲を見回してみるといい。「命が惜しければ白タクに乗るな」「白タク乗るな、無事の帰宅を家族が待っている」という物騒な標語を書いた看板が目立つことに気付くはずだ。これだけ標語で注意を喚起しているのは、相当数、白タクの被害が出ているということにほかならない。