瀬口:では、欧米と何が違うかというと、例えば生活習慣。まず日本も中国も生鮮食料品はほとんど毎日買いに行く。アメリカだったら1週間に1回じゃないですか。

 しかも、車じゃなくて歩いて買いに行く。1日分を買って帰ってくるというのが当たり前で、冷凍食品じゃなくて常に新鮮なものを買うというのが前提ですよね。だから、鮮度も重要だしそれから安全も重要。工場で作ったものじゃないから本当にそれが安全かどうかというのは心配になります。一方でアメリカなんかだったら全部フローズンパッケージなので、あまり心配をしないでみんなが買っています。

 冷凍魚だとか冷凍肉とか冷凍野菜だったら、腐る心配もないじゃないですか。でも、アジアの文化で人口密度が高いところの地域では食材の鮮度が大切。食文化がそういう似通った状況です。

 それから地価が高くて土地の面積が狭いので、住宅もすごくコンパクトな構造です。そんな住宅のニーズがあるのも日本ぐらいしかなくて、ニューヨークだってマンハッタンの一部はそうですが、結構みんな郊外に住んでいるじゃないですか。東京や大阪みたいに、多くの人がマンションに住んでいるというところはあまりないですよね。

 それから地下鉄、ニューヨークやロンドンの地下鉄って本数はまばらですよね。日本は、銀座線とか丸ノ内線って2~3分に1本来るじゃないですか。北京や上海の地下鉄も結構な頻度で走ってます。この頻度でありながらしかもダイヤをきちんと管理しなくちゃいけないというのも、人口密度が高い大都市だけなんですよね。こんな大都市で、地下鉄の頻度がこれほど高いところは欧米にはないですよね。

山田:ああ、なるほど。

中国の鉄道ダイヤは日本並み

瀬口:ということを考えると交通、住宅、食生活、たぶんサービス産業の仕組みも、全部都市型が前提なのは日本と中国の共通項なんですよ。こういう前提があるのですから、中国市場において日本企業は弱いわけがない。

山田:鉄道といえば2011年、中国の高速鉄道が温州市で事故を起こして転落しちゃって、それを慌てて埋めちゃったということがありました。日本人の中国の高速鉄道に対するイメージって、そこで止まっちゃったりしている。私は高速鉄道もよく利用しますが、本当に遅れないよな、ということに感心するんですよね。本当にダイヤ通りにだいたい来る。

 それと百均なんですが、これは欧米人が便利と思うのかなというと、今おっしゃったように生活のスタイルが違うので、欧米にそのまま持っていっても全然はやらないと思う。ただ中国ではやっているというのは、やっぱり生活スタイルが似ているのだと思いますよね。

瀬口:だから本来圧倒的競争力を持っているんですよね、日本企業は中国において。比較にならないですね。

山田:そういう事情があるので、最近欧米の企業は中国に対する熱が少し冷めてきたのでしょうか。

瀬口:それもあるかもしれません。ただその一方で、日本企業は相変わらずマーケティング能力が低いですよ。先進国の中で最低だと思います。

山田:そこを詳しく教えていただけますか。

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