瀬口:そういうホンダさんの決断が、1年ちょっと前に発表になり、それを聞いた日本企業の中国ビジネス関係者の多くは「これは動きはじめた」と感じました。また、ちょうどそのころにハウスのカレー工場なども稼働しました。さらには日新製鋼の自動車鋼板用の新工場が稼働するなど、続々と新工場の立ち上げとか増産投資計画だとかが出てきました。安川電機のロボットも絶好調で、もう全然受注が追いつかないという話です。

 このようにいい話が、ホンダの決断を機にだーっと出はじめたんですね。さらには2017年の1月ぐらいからまた中国の景気がぐっとよくなってきて、それを示す経済データが出てきたのが4月です。

 4月に第1四半期のデータを開けてみたら実質GDP成長率が前年比6.9%増で、あ、何、強いねということになった。雇用の数字もいい、設備も強い。これは久しぶりで、しかも輸出が2年ぶりに前年比プラスになったんですね。いろいろな要因がよくなって、企業収益も高い伸びを示し、中国企業の先行きに対する見方も明るくなった。日本の対中投資積極姿勢は2016年の秋ぐらいからゆっくり立ち上がってきたんですけれども、中国の景気は2017年に入ってからグッとよくなったので、その影響でさらに日本企業が自信を持っていけるようになってきた。

 自動車を中心にロボットも日用品も半導体もスマホ関連もみんないい。どんどん新しい需要が出てくるといった感じが今は続いています。

3年経つと4割増の中国市場

山田 泰司
山田 泰司

山田:そこまで好調だったのですね。

瀬口:マクロデータから見ると、2012年の尖閣諸島問題以降は日本企業の対中投資はがくんと落ちていたんです。対中投資は、ピークが70億ドルを超えていたんですが、半分以下の30億ドル前後まで落ち込んだ。落ち込んでいたのがなかなか上がってこなかったんです。それが2016年末に前年比でぐぐっとプラスになってきた。この統計データは実際の動きより半年から1年遅れて変化するので、昨年1~10月累計の前年比の伸び率はプラス8%まできました。ここまで伸びたのは久しぶりです。

 日本の対中投資は大きな波があるんです。1つの波がだいたい5年ぐらい続きますので、もし今回の波が本格的に盛り上がれば2020年ぐらいまで投資額が増え続けるというのが普通のパターンです。

 順調にいってくれれば、70億ドルとまではいかないかもしれませんが、60億ドル台ぐらいまでは回復してもおかしくないと私は見ています。今回の回復が本格的な盛り上がりになるかどうかの見極めは今年の直接投資の出方を見ないと分からないですが。

 中国の市場は、今は年間の名目ベースで言うと、毎年10%ぐらい成長しているんです。3年たつと4割増ぐらいのマーケットになってきます。売り上げもどんどん伸びるわけですよね。しかも、好調な業種のマーケットだと伸び率がもっと高いわけです。

山田:4割憎のマーケットはすごいですよね。

瀬口:4割増は平均なので、5割とか倍増というふうに伸びる市場もあります。昨日もあるロボットメーカーの経営者が言っていましたけど、もう絶好調すぎちゃって怖いぐらいだと。

 つい最近も、ある中国メーカーから「ちょっとお願いしますよ」と言われて、何台ですかと聞いたら、うん千台ときた。約200万円のロボットを、うん千台というオーダーで受注が入る。だからもう、ちょっと日本では想像がつかないと言っていました。

山田:それは、日本にいたら想像がつかないですね。

次ページ 日本と中国では人口密度が似ている