できる営業は「ボール」に手を出さない

●球田コンサルタント:「子犬さん、さすがです。例えば『ネガティブ・アティチュード・レスポンス率』はどうでしょう」

○子犬課長:「なんですか、それは」

●球田コンサルタント:「お客様が否定的な態度を示したときに、どれぐらい反応するか、です」

○子犬課長:「え……」

●球田コンサルタント:「お客様の嫌な顔、不機嫌そうな態度、否定的な言葉、できない営業や駄目な営業ほど、いちいち反応します」

○子犬課長:「なんか、わかります……。『脈がありません』とか『商品に興味をもってくれない』とか、できない営業ほど愚痴を言います。後で調べてみると、それほどお客様が嫌がっていたわけではない、ということが実際にありますね」

●球田コンサルタント:「できる営業はそんな『ボール球』は振りません。ストライクをじっと待ちます」

○子犬課長:「そうかっ! 私はそういうタイプです。お客様と話をしていて、1度でもお客様が関心を示したら、それだけで『行ける』と閃きます。そうすると紆余曲折があっても最後に受注できます」

●球田コンサルタント:「ストライクだけに体が反応する。営業にとって天性の能力ですよ。トレーニングではなかなか身につかない」

○子犬課長:「なるほど。お客様のネガティブな態度にどれぐらい反応しないか、実績データからつかむということになりますね。そんなデータ、ありますか」

●球田コンサルタント:「野球の実績はガラス張りですが、営業活動はそうではないですからね。宿題にさせてください」

ネガティブな意見にどう反応するか

 私は企業の現場に入って営業目標を絶対達成させるコンサルタントです。現場に入って5年目ぐらいまでは「営業に適性はない」「トレーニングすれば誰でもできる」と考えていましたが、その後、考えを変えました。

 もちろん、トレーニングは重要です。とはいえ、組織の側に立つと、適性ないし潜在能力がある人のほうが、短期間で成績を上げてくれますから、そういう人を雇いたいわけです。

 数多くの「できる営業」を見てきた私の経験からすると、適性を測る有力な材料は、相手のネガティブな意見や態度への反応です。

 いちいち反応しないで聞き流せる、ある意味で鈍感な人。露骨に言えば、自分の都合のいいことだけに焦点を合わせて感じ取れ、自分の都合の悪いことは耳に入らない人。こういう方は営業としての潜在能力が高いです。

 「買ってもいい」「頼んでもいいかな」という気持ちを見逃さないということです。言うまでもありませんが、顧客の社交辞令を本気だと思い込んで無理に売り込む人ではありませんし、クレームを無視する人でもありません。

 自社の社員であれば、上長が同行するなどして、ネガティブ・アティチュード・レスポンスを把握できるでしょう。他部門の人を異動させる際、上長にヒアリングすることである程度はつかめるのではないでしょうか。ただし、社外の人をスカウトする場合は球田コンサルタントが言う通り、ハードルがあります。

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