「やるか、やられるか、です」

●球田コンサルタント:「社長こそ、本当にわかっているのですか」

○鷲沢社長:「なんだと! 誰に向かって口をきいている」

●球田コンサルタント:「ビジネスは勝ち負けです。やるか、やられるか、です。甘いことは言ってられません」

○鷲沢社長:「……それぐらいの覚悟を持て、ということか」

●球田コンサルタント:「覚悟とか、そういうことではなくて、本当に勝ち負けなのです」

○鷲沢社長:「どういうことだ。ライバルは一つと言っていたが、他に敵がいるのか」

●球田コンサルタント:「敵はお客様です」

○鷲沢社長:「お、お客様が敵!」

●球田コンサルタント:「『顧客を攻略する』と言うではありませんか。営業やマーケティングには戦略があり、戦術もある。戦う以上、必ず勝敗があります。私が申し上げているのはそれだけのことです」

○鷲沢社長:「……」

●球田コンサルタント:「甘い考えでビジネスをしている人が多すぎると私は見ております。鷲沢社長は違うと思ったので引き受けましたが」

○鷲沢社長:「確かにターゲティングと言ったり、営業部隊と言ったり、機動力と言ったり、戦いの言葉がよく出てくるが……」

●球田コンサルタント:「言うまでもないですがお客様を殺しに行け、というわけじゃありません。ただ、『勝ち負け』ぐらいは使っていい。それぐらいの真剣さが必要です」

○鷲沢社長:「なるほど……。だが、お客様が敵というのはどうも……」

●球田コンサルタント:「私は常にお客様をピッチャーとみています。このピッチャーをどう攻略するか、そう考えます」

○鷲沢社長:「ピッチャーを攻略し、見事打ち返すことができたら『勝った』と表現するのか」

●球田コンサルタント:「打ち勝ったわけです。野球ではなく営業ですから勝ち負けといってもメタファーです。しかし、このメタファーが闘争心に火をつけます。相手を研究してやろう。簡単には諦めない。球に食らいつき、場合によっては体に当ててでも塁に出る。こういう姿勢を育て上げます」

○鷲沢社長:「闘争心か。言われる通り、わが社の営業チームには不足しているな」

●球田コンサルタント:「営業チームに今、一番必要なのはモチベーションとか自主性とか働き方改革とかではありません。闘争心です。私が来たからには営業チームの闘争心に必ずや火をつけてみせます」

○鷲沢社長:「少々心配だが今は君のバイタリティに賭けるしかない」

会社の実情を直視せよ

 ビジネスは「勝ち負け」なのか、そうではないのか。改めて問うまでもなく、誰かに言われるまでもなく、答えはわかっていることです。

 ビジネスはビジネス、戦争でもなければ、スポーツでもありません。勝つだの負けるだのという判断軸はビジネスの世界には本来ありません。

 経営理念は大事ですし、ビジネスを通じて社会に貢献していくことも大事です。ただし、これは業績がいい会社、余裕のある会社が言うことです。

 業績が悪く、それこそ会社が生き残れるか、そうでないかが問われているとしたら、理念や社会貢献を考える前に、戦わなくてはなりません。

 そのとき、勝ち負けというメタファーを使うのです。言葉に過剰反応して腰が引けたままでいると、脆弱な経営に陥ってしまい、従業員のためにも、お客様のためにもなりません。