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難しいのは「遠慮逡巡タイプ」

○鷲沢社長:「三番目はとにかく遠慮して逡巡するタイプ。アーリーマジョリティや、さらにその後になって決めるレイトマジョリティに結構いる。知識や情報にはあまり関係ない。だからアドバイスしても決めない」

●蝶野会長:「そうなのですか。なぜ決めないのでしょうか」

○鷲沢社長:「思考がパターンになっている。理由もなく逡巡する」

●蝶野会長:「理由もなく……」

○鷲沢社長:「そういう優柔不断なお客様をどうするのか。それが営業の仕事だ。どうしますか」

●蝶野会長:「うーん。理由もなく決めないわけですよね」

○鷲沢社長:「とにかく決められない性格だと思えばいい」

●蝶野会長:「明らかに採用したほうがいいのに、とりあえず『少し考えさせてください』と言う人って必ずいますよね」

○鷲沢社長:「そう言うのが癖になっている。そのタイプには詰め寄ってはいけない。まず時間をおく」

蝶野会長:「なるほど。時間があれば考えてくれますか」

○鷲沢社長:「考えないよ」

●蝶野会長:「え! 考えさせてくれと言っておきながら考えませんか」

○鷲沢社長:「考えない。考えるだけの時間をくれというのは口実。とにかく時間をおきたいだけだ。遠慮逡巡タイプは」

●蝶野会長:「困りましたね」

○鷲沢社長:「理詰めで説得しても無駄。時間という報酬をプレゼントすることで、相手は楽になる」

●蝶野会長:「どうせ決めるなら早いほうがいいのに」

○鷲沢社長:「結論はわかっていても、相手にペース配分を握られるのは嫌だという人もいる。自分のペースで進めたいわけだな」

●蝶野会長:「理詰めで説得しようとしてはいけないのですね」

○鷲沢社長:「そんなことしたら売れるものも売れなくなる。説得を我慢し、じっと待つ。これは人間でないとできない。だから人が営業をしている」

時間をおいて決定を待つ

 意思決定できる材料がそろっていても、決められない人は決められません。右へ行くのか左へ行くのか決められないし、といってその場に留まるという決断もできません。

 

 「決めてください」と迫ると、パニック状態になってしまうことすらあります。他者から攻められると感情をあらわにしてしまう人がいますが、それはそのせいです。

 いつかは必ず決めなくてはならない。そのことをわかってもらいながら、時間をおいて相手の決断を待つことも営業には必要です。ただし、ずっと待っていても決まるわけではありません。しばらく待ったら、接触してみましょう。