「お前を認めない」というリアクションも

●持田主任:「ひゃっ」

○鷲沢社長:「おいおいおいおいおいおいっ」

●持田主任:「ど、どうかしましたか」

○鷲沢社長:「はっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ」

●持田主任:「……」

○鷲沢社長:「腹が痛い。じょ、冗談は止めてくれ」

●持田主任:「し、社長」

○鷲沢社長:「すまん。ごほっごほっ……」

●持田主任:「咳き込むほど驚かれたのですか」

○鷲沢社長:「君がモチベーションとか言ったからだ。モチベーションなんて言葉はわが社で禁句だよ。いつも言っているだろう。仕事をするのにモチベーションなんか関係ないと」

●持田主任:「あ」

○鷲沢社長:「私も君もしょせんサラリーマンだ。やることはやらないといけないじゃないか。その程度の話なのに人前でモチベーションが上がらないなんて言うなよ。笑いはとれるかもしれんが馬鹿にされるぞ」

●持田主任:「いや、もちろん、本気で言ったわけじゃありません。ちょっと使いたくなって……」

○鷲沢社長:「安心したよ」

●持田主任:「あ、それもリアクションの一つですね。お前の言っていることは認めないぞ、と暗に気付かせるための。勉強になりました」

○鷲沢社長:「そういう技もある。ただな、さっきのは演技じゃない。本気で驚いたんだ」

無茶な指示や要求を飲まないリアクションも

 人と交渉する際、主導権を握るために効果的なリアクションをいくつか知っておきましょう。

 相手の話を引き出すのも、無茶な依頼を断るのもリアクションの使い方次第です。

 相手からの無理な指示や要求を飲まないために、冗談めかして驚いてみせることを「フリンチ」と呼びます。オーバーリアクションをすると効果的です。

 相手の言葉をはじめから「本気ではない」「ジョークだ」と決め付け、大袈裟に驚いたり笑ったりすることで、相手も本気だと言えなくなるというわけです。

 お客様から「もう少し安くできないか」と言われたとき、例えば次のように返すのがフリンチです。

 「ええ! 価格交渉なんて、部長ときたらすぐそんなご冗談を。この間も言ったじゃないですか、今回の件、価格交渉はありませんって。いま値引いたら僕は嘘つきになっちゃいますよ。あはは」

 言われた瞬間、間髪入れずに笑い飛ばす覚悟が必要です。ちょっとでも考えたことが相手に分かると、この手は通じません。

 相当強引なコミュニケーション技術ですから、相手との間に信頼関係(ラポール)があることが前提です。