●竹虎常務:「どういうことでしょうか」
○鷲沢社長:「私がメガバンクにいたとき、あの会社のことはよく聞いていた。あの社長は取引先をとても大事にする。下請け扱いしたり、無理難題を押し付けたり、そういうことは絶対にしない。社員を厳しく指導していると当時から評判だった」
●竹虎常務:「そうだったのですか……」
○鷲沢社長:「それを知っていたから、クレーマー課長を放っておくわけにはいかないと思ったし、あそこまで言えた」
●竹虎常務:「なるほど……。私は社長の胆力というか、度胸というか、そういうものに感動さえ覚えていました。当社のミスとはいえ、あそこまでいくと嫌がらせですから」
○鷲沢社長:「私に度胸なんてない。ビビらないだけだ」
●竹虎常務:「ビビらないだけでも凄いことです。社長のそういうところを見習いたいです」
○鷲沢社長:「常務は優しすぎるな」
●竹虎常務:「優しいのではなく、ビビっているのです。お客様に対しても、部下に対してもそうです。気を使ってしまい、なかなかビシッと言うことができません」
○鷲沢社長:「ビビらない習慣を教えてやろうか」
●竹虎常務:「ビビらない習慣? 習慣ですか」
○鷲沢社長:「習慣というか、癖みたいなものかな」
●竹虎常務:「よくわかりませんが教えてください」
「誤解をするからビビる」
○鷲沢社長:「たとえば私だってビビることはある」
●竹虎常務:「社長がですか」
○鷲沢社長:「何をかくそう、私は歯医者が大嫌いだ」
●竹虎常務:「え」
○鷲沢社長:「ここ3カ月ほど奥歯が痛いので歯医者に行かなくては……とずっと思っているのだが、延ばし延ばしになっていた」
●竹虎常務:「結局行かれたのですか」
○鷲沢社長:「……まだ、行っていない」
●竹虎常務:「ええっ」
○鷲沢社長:「ビビッている。歯医者に行ったら何をされるかわからない」
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