「最悪なのがノルマ主義です」

●犬神専務:「シリコンバレーにある急成長企業数社でインターンシップをして、これがクリエイティブな働き方だと実感しました。自主性を尊重する、それが創造性豊かな結果につながるのです。その反対で最悪なのがノルマ主義です。失礼ですが、社長がお使いになる『絶対達成』という表現は体が受けつけません。たまたま昨日、シリコンバレーにいる友人とチャットをして、その言葉を紹介したら、彼は『インクレディブル!』と言って驚いていました。すいません、もちろん皮肉なのですが」

○鷲沢社長:「私は社長が遺した中期経営計画を絶対達成させるために当社へ来ました。絶対達成という言葉は使い続けます」

●犬神専務:「計画はあくまでも計画です。絶対に達成させなくてはならない、という表現が社員を苦しめるのです。当社は広告代理店ですよ。絶対達成と言われて、いいアイデアなど出ません。モチベーションだって上がらないですよ」

○鷲沢社長:「専務とバトルをするつもりはありません。ただ、今後も継続して話し合いをしていきませんか」

●犬神専務:「あなたが信頼できる人だということは父から聞いています。ですから、社長を拒否するつもりは毛頭ありません。ぜひ当社の発展に寄与していただければ……話がそれてしまいましたが、ホームページはどうしましょうか」

○鷲沢社長:「ですから専務の好きにしていただきたいとお話しています」

●犬神専務:「さっき申し上げたように、ホームページのあるべき姿がわからないのであればデザインしようがないです。期限も明確ではありませんし」

○鷲沢社長:「実はですね、専務」

●犬神専務:「何ですか」

○鷲沢社長:「私の息子は以前から野球をやっておりまして今年高校生になりました」

●犬神専務:「……はあ」

○鷲沢社長:「野球部に入ったのですが、どうもやる気がしないと言っています。幼いころからやっていたのに、です」

●犬神専務:「何かあったのですか」

○鷲沢社長:「トラックを何周も走らされる、と言うのです」

●犬神専務:「足腰を鍛えるためですから、それはしょうがないでしょう。私もボート部にいましたが、走り込みからやらされました」

○鷲沢社長:「何周走ったら終わりなのか、何時まで走ったら終わりなのか。野球部の監督は何も言わないそうです」

●犬神専務:「えっ」

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