「打って打って打ちまくる超攻撃型野球がいい」

○鷲沢社長:「私がいる限り、資金繰りがおかしくなることはない。それぐらいはしっかりみている。野球でもそうだ。打って打って打ちまくる。超攻撃型野球がいい」

●小鹿コンサルタント:「攻撃は最大の防御だ、という言葉がありますしね」

○鷲沢社長:「ボクシングでも野球でもそうだ。打線に火がつくと、投手にも守備陣にもリズムが出る」

●小鹿コンサルタント:「観客も喜ぶでしょう」

○鷲沢社長:「そこが大事だ。打ちまくって毎試合10点入ったら、観客もチームも楽しいだろう。たまには12点とられて負けるときもあるかもしれん。それでも10点取ったのだから次につながる」

●小鹿コンサルタント:「お言葉ですが、1点を争う息詰まる投手戦もファンを惹きつける試合ではありませんか」

○鷲沢社長:「わかっとる! ただ、私はそういうスタイルを好まない。細かいことが好きじゃないからだ」

●小鹿コンサルタント:「あくまでも経営のスタイルということですね」

○鷲沢社長:「そうだ。打って打って打ちまくればいい。ビジネスでいえば、売って売って売りまくればいい!」

●小鹿コンサルタント:「でも、どの球団だって、打てるものなら打ちたいと思っているはずです。それが難しい」

○鷲沢社長:「わかっとるわ! 毎試合10点とれたらいいとは言ったが、そんなことが可能なら監督も選手も苦労しない。世界中、どのプロフェッショナルリーグを見ても、年間を通じて毎試合10点以上とるチームなど存在しない。だがな、ビジネスで見たら、いくらでもあるはずだ」

●小鹿コンサルタント:「連続増収増益記録を更新している会社は結構ありますからね」

○鷲沢社長:「だろう。気合いを入れればそれぐらいできる!」

●小鹿コンサルタント:「き、気合いですか。連続増収増益企業はたいてい手堅い経営をしていますよ」

○鷲沢社長:「さっきから言っているように、爪に火をともす経営はしたくない。2対1で勝つんじゃなくて、10対1で勝つ。これぐらい豪快な経営をしなければならん!」

●小鹿コンサルタント:「豪快経営ですか……キャッチフレーズや気合いだけでは勝てないでしょう」

○鷲沢社長:「営業を鍛えればいい。目標をはるかに上回る売り上げを毎期毎期作れば、経営していて楽しいし、営業だってそのほうが楽しい。だから、予材管理なんだ」

●小鹿コンサルタント:「ははあ、そこに話を持っていくわけですか。社長が仰っている、営業目標の2倍の材料を予め仕込んおいて、目標を絶対達成していくやり方ですね。2倍というのはざっくりしていますが、豪快といえば豪快です」

○鷲沢社長:「目標の2倍の予材を仕込んでおくわけだから、これは強いぞ。なぜ2倍なのですか、2割増しくらいを狙って確実に目標を達成すればそれでいいでしょう、と言ってくる奴がいるが、2割増し程度の材料では何かあったら飛んでしまう」

●小鹿コンサルタント:「精密機械のような経営をしていたら目標未達成リスクが高まるということですね」

○鷲沢社長:「そもそも精密機械のようにマネジメントできる管理職がどれぐらいいる。当社にはいない。他の企業だってそうそういないぞ。銀行マンだったとき、膨大な数の企業を見てきたが、精密機械のように経営をしている企業なんてなかった」

●小鹿コンサルタント:「絵に描いた餅ということですか」

○鷲沢社長:「理想は大事だが現実も見ないといけない。理想ばかり言う奴は現実を見ていない。精密に経営できる人材など当社にはいない。これが現実だ」

●小鹿コンサルタント:「だから毎試合10点とる野球チームを目指すわけですね」

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