経営にとって利益は重要ですが、利益にばかり焦点を合わせると、無駄な経費をカットするだけでチャレンジができない組織風土になってしまう危険があります。

 多少の無駄があっても、本業の儲けをしっかり大きくしていく発想も大事です。

 鷲沢社長と小鹿コンサルタントの会話を読んでください。

○鷲沢社長:「どうにもならんな」

●小鹿コンサルタント:「どうしたんですか、社長」

○鷲沢社長:「みんな守りに入っている。駄目だ。そんなことでは本当に駄目だ」

●小鹿コンサルタント:「もっと攻めろということですか」

○鷲沢社長:「君はコンサルタントだ。攻めるだけではなく守りも大事だと言うだろう」

●小鹿コンサルタント:「経営の安全性を考えたら、流動比率や当座比率を念頭に置いて指導しますね」

○鷲沢社長:「そんなものはどうでもいい!」

●小鹿コンサルタント:「え……」

○鷲沢社長:「ちょっと言い過ぎたか。どうでもいいとまでは思わんが、そういう比率にこだわっていると、縮こまった経営しかできなくなる」

●小鹿コンサルタント:「びっくりしました。銀行出身の社長がそんなことを言うとは思いませんでしたから」

○鷲沢社長:「しかし、経営が縮こまっていく、というのはその通りだろう」

●小鹿コンサルタント:「うーん……。そこまで言い切ることはできないのでは。確かに比率ばかり気にしていると縮こまりそうですが、それは机上の話で現実的にはそうならないことが多いですよ」

○鷲沢社長:「そうならないかもしれないが経営をしていて楽しくない。観るほうだってそうだろう」

●小鹿コンサルタント:「観るほうと言いますと」

○鷲沢社長:「たとえばボクシングだ。相手のパンチを巧みに避け、効率よく相手の顔面やボディに当てていく。精密機械のようなボクシングスタイルは勝つ確率が高まるだろうが、観ていて楽しくない」

●小鹿コンサルタント:「一発KOを狙うスタイルのほうが観客としては盛り上がりそうですね。しかし逆にKOをくらう危険もあるわけで、経営としてはどうかと」

○鷲沢社長:「攻めて攻めて、攻めまくれば、経営が不安定になるはずがない」

●小鹿コンサルタント:「うーん。理屈がよく分かりませんが、銀行出身の社長が言うと逆になんだか説得力がありますね」