「全社員が集まる会議とはどういうことか」

○鷲沢社長:「何ですか、それは。全社員が集まるって、どういうことですか」

●竹虎常務:「社長はまだ知らないかもしれませんが……。恒例行事なのです」

○鷲沢社長:「恒例だから全社員、集めるのですか。恒例だから毎年9月に会議が多くなるのですか」

●竹虎常務:「え、ちょ……」

○鷲沢社長:「この会社に入って1カ月ほど経ちました。私はまだ取締役会と経営会議の2回しか会議に出席していない」

●竹虎常務:「そ、それは社長が取引先をまず回りたいと仰ったからで……。もっと会議に出席したかったのですか」

○鷲沢社長:「バカなことを言うな!」

●竹虎常務:「ひっ!」

○鷲沢社長:「社長に就任してから我慢してきたことがあるがそろそろ限界だ」

●竹虎常務:「ど……どうしたのですか、突然」

○鷲沢社長:「この会社の社員は仕事をしておらん。どいつもこいつも労働時間が短すぎる! もっと長時間労働しろ!」

●竹虎常務:「えええええ! どういうことですか、社長? 早く帰宅しなさいって言ったばかりじゃないですか」

○鷲沢社長:「早く帰れとは言った。ただし長時間労働はしてもらう」

●竹虎常務:「あ、早朝から出社しろ、ということですか。そのかわり定時に帰れと」

○鷲沢社長:「話がかみ合わないな。なぜもっと働けと言っているか、そこから始めよう。上半期の業績を見たか。今期の目標を大幅に下回っている。こんなことで中期経営計画を絶対達成なんて、できるのか!」

●竹虎常務:「こ、このままでは難しいです」

○鷲沢社長:「業績が上がらないなら、もっと働きなさい。『働かざる者食うべからず』だ」

●竹虎常務:「あのう、今の業績ですから、もっと働けというのは分かります。ただ、残業するな、働き方改革だと仰っていましたよね」

○鷲沢社長:「働きが悪い奴はもっと働け! それが働き方改革というものだ」

●竹虎常務:「な……。変わり者の社長が来るとは聞いていたが、とんでもない社長がやってきた……」

○鷲沢社長:「なんだって!」

●竹虎常務:「す、すみません。働けと言うのであれば、私は朝からでも、深夜まででも働きます。しかし……そうはいってもあまり残業を増やすのはやはりどうかと思います。抵抗する社員が多いでしょうから」

○鷲沢社長:「誰が残業を増やせと言った」

●竹虎常務:「え? だってそう言ったじゃないですか」

○鷲沢社長:「言っていない! もっと働けと言っただけだ」

●竹虎常務:「はああ?」

○鷲沢社長:「勤務時間が長びくのは駄目だ。だが、勤務時間の中で頭を使って働く時間を長くしろ。昨日の会議、どんな会議をどれぐらいの時間やって、何人が出席したのか」

●竹虎常務:「昨日ですか? ……ええと、朝は課長会議に出ていました。朝から2時間。参加者は9名。次に人事部との定例会議が1時間30分。11名。次に、北関東の営業所の5名と臨時会議。これが2時間……」

○鷲沢社長:「……」

●竹虎常務:「その次が、専務と部長4名と下半期の数値計画の打ち合わせ。2時間。それから営業部との進捗会議が3時間……。確か16名、来ていたと思います」

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