「金がないから買えないというのは真実ではない」

●熊岡課長:「社長! それは違いますよ」

○鷲沢社長:「そうか。それで4000円はどうした」

●熊岡課長:「どうもこうも……。別に何もしていません」

○鷲沢社長:「君の奥さんは4000円を当てにしているのかな」

●熊岡課長:「とんでもない! 何を言い出すんですか」

○鷲沢社長:「ということは浮いた4000円を君も奥さんも意識していない。君の銀行口座に残ったままだな」

●熊岡課長:「そ、そういうことになりますね」

○鷲沢社長:「平均すると君は月に3回出張している。そのたびに4000円前後の差額が銀行口座に残っていく。年間10万円以上になる計算だ」

●熊岡課長:「計算上はそうかもしれませんが、私は悪いことはしていません」

○鷲沢社長:「悪いとは言っていない。ただ、お金に対するバイアスを君に認識してもらいたいだけだ」

●熊岡課長:「お金に対するバイアス?」

○鷲沢社長:「ボールペンを買う金がないとさっき言ったな。実際にはある。年間、出張時の“差額”で10万円以上も入ってくる。3000円ぐらいのボールペンなら悠々買える。その気になれば、モンブランでもパーカーでもいけるぞ」

●熊岡課長:「まあ、そう考えればそうかもしれません」

○鷲沢社長:「金がないから買えないというのは真実ではない。まずそれを知ることが重要だ」

●熊岡課長:「それがお金に対するバイアスということですか……」

○鷲沢社長:「私が高級ホテルに泊まっていると思い込むのもバイアスだがまあそれはいい。だが、泊まろうと思えば泊まれる8000円のホテルを避けてしまうのはバイアスだな。翌日の行動を考えたら立地がよいホテルを選んだほうがいい場合もある」

●熊岡課長:「それはそうですね……」