業務が残っているのに残業せずに帰る人がいます。翌日以降にその業務をこなせばいいケースもあるでしょうが、そのツケは自分にまわってくるだけでなく、組織の成果にも影響を及ぼします。

 鷲沢社長と揚羽課長との会話を読んでみてください。

○鷲沢社長:「いったい、どうなっている!」

●揚羽課長:「ど、どうしたのですか、社長」

○鷲沢社長:「なぜこんなに成果が出ない。信じられん」

●揚羽課長:「社長、そうは言っても、利益はなかなかすぐに増えないものです」

○鷲沢社長:「私が言っている成果は売り上げとか利益とかではない。予材だ、予材。まったく積みあがっていない。これでは予材管理にならんぞ」

●揚羽課長:「営業目標の2倍の材料を予め仕込む。そうして目標を絶対達成させていく。頭ではわかっているのですが、予材だって、そう簡単には……」

○鷲沢社長:「予材はこういう案件になりそう、という仮説だ。お客様のところへ足しげく通い、しかるべき担当者を特定し、情報収集を繰り返せば、その会社にどれぐらいの予材があるか、仮説を必ず立てられる」

●揚羽課長:「そ、そうですが」

○鷲沢社長:「売り上けや利益どころか、案件を持ってこいとも言ってない。予材だ、予材。予材でいいんだよ!」

●揚羽課長:「当社は社員10人のベンチャー企業です。忙しくなると、営業とはいえ、いろいろな業務をこなさなければなりません」

○鷲沢社長:「何だって」

●揚羽課長:「不慣れな大型案件が先日舞い込んできたものですから、みんなで手分けして業務を分担しているのです。営業だからといって、営業活動だけやっていればいいわけではないので」

○鷲沢社長:「私だって、20年ぶりぐらいに請求業務を2日続けてやった。最終日は徹夜になった。8月の月末は大変だったからな」

●揚羽課長:「……」

○鷲沢社長:「ベンチャーだから想定外のことがしょっちゅうあるのはわかっている。不慣れなことも多いだろう。みんなで力を合わせてやらなくちゃいけない。わかっているよ、そんなことは」

●揚羽課長:「わかっていただけるなら」

○鷲沢社長:「違う! 業務量の話と、営業活動の話は別だ」

●揚羽課長:「え」

○鷲沢社長:「君には顧客視点というものがあるのか。まさか業務の合間に営業をしているのではないだろうな。営業活動をする時間は先に決められている。お客様の都合に合わせなければならんのだから」

●揚羽課長:「は、はい」

○鷲沢社長:「小さなサッカーチームなら、選手がチケットを作って手売りしたり、ポスターを商店街に貼りに行ったりしている。そういう業務が忙しいからといって、サッカーの試合を途中で抜けて、業務を先にやろうとする選手がどこにいる」

●揚羽課長:「そ、そんな。サッカーチームと比較しないでください」

○鷲沢社長:「君たちはプロ意識が足りない」

●揚羽課長:「そうでしょうか」