
「あと出しじゃんけん」は相手の手を知ってから自分の手を出すことですから必ず勝てます。
営業も「あと出しじゃんけん」ができれば、必ず受注できるわけです。そんなことは可能でしょうか。
小鹿コンサルタントと持田主任との会話を読んでください。
○持田主任:「私は15年ほど、印刷会社で営業をして常に結果を出してきました。提案営業に自信があり、広告代理店の当社に転職したわけですが、入社して1カ月以上経つというのに、イメージ通りに商談を進められません」
●小鹿コンサルタント:「入社してまもないわけですから焦らなくてもよいのでは」
○持田主任:「すぐに売り上げを立てられると思っていたわけではありません。気になっているのは、商談をうまく進められないことです。こんな感覚は初めてで、正直不安です」
●小鹿コンサルタント:「だから商談のロールプレイに付き合ってほしいと言ったわけですね」
○持田主任:「そうです。先週、いくつかの商談パターンを実演し、ご覧いただきました。いかがでしたか。本当のことを言ってください」
●小鹿コンサルタント:「本当のことって……」
○持田主任:「だって、あのときは『悪くはないですけれど……』という言い方でした。ああいう曖昧な表現をコンサルタントがすべきではありませんよ」
●小鹿コンサルタント:「ピシャリと言いますね」
○持田主任:「女だからといって手加減しないでください。ピシャリと言ってください」
●小鹿コンサルタント:「現場に慣れるところから始められたほうがいいと思ったのです。あまり細かいことまで言う必要はないかと」
○持田主任:「いえ、言ってください。お願いします」
●小鹿コンサルタント:「わかりました。その前に質問があります。前職の主力商品は何だったのですか」
○持田主任:「前職では医療関連の業界をずっと担当していました。印刷物を請け負うだけではなく、そこに盛り込む情報について提案したり、必要ならマーケティング調査まで引き受けたりしました」
●小鹿コンサルタント:「なるほど、印刷会社と言っても、やってこられたことはマーケティング支援だから、広告代理店でもいける、と思ったわけですね」
○持田主任:「はい。冊子やポスターなど紙だけではなく、ホームページの画面作成も請け負っておりました。ちょっと変わった印刷会社で古くから医療業界に特化していて、業界では有名でした」
「説明準備の徹底で結果を出してきた」
●小鹿コンサルタント:「営業プロセスはどんな感じでしたか」
○持田主任:「まず引き合いをいただきます。お客様が求めていることはだいたい決まっていますので、商品説明の準備をしてお伺いします。この準備を徹底してやることで結果を出してきました」
●小鹿コンサルタント:「準備万端だとすると商談スピードはさぞかし速かったでしょうね」
○持田主任:「はい。『もうここまで用意してくれたのか』とお客様からよく言われました。きちんと準備してきちんと提案すれば、商談はどんどん前に進んでいきます」
●小鹿コンサルタント:「そのスピード感がこの会社に入ってから無くなった。ということですね」
○持田主任:「そうです。お客様の質が悪いのか、当社の商品に魅力がないのか。そのどちらかではないかと思うのですが」
●小鹿コンサルタント:「本当にそうでしょうか」
○持田主任:「え」
●小鹿コンサルタント:「問題は本当にそこなのでしょうか」
○持田主任:「と言いますと」
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