○鷲沢社長:「3人の部下と早速コミュニケーションをとって、どうすれば『やる気』を高めて結果を出せるか、話し合っているところなのだな」

●持田主任:「ええと……」

○鷲沢社長:「そういうことだろう」

●持田主任:「『やる気』と言うと、何か違う気がします」

○鷲沢社長:「何が違う」

●持田主任:「うーん……」

○鷲沢社長:「『モチベーション』と似た言葉に『イノベーション』がある」

●持田主任:「え! 全然違う意味ですよ」

○鷲沢社長:「そんなことはわかっとる! 意味をあまり考えず、気軽に口にする奴が多い。そこが似ているということだ。モチベーションをアップしよう! 当社もイノベーションを起こそう! こんなことを言っている奴が多すぎる」

●持田主任:「どうしてモチベーションという言葉を毛嫌いされるのですか。私はモチベーションをうまく上げられる方法を知っています。だからこそ今まで成果を出してこられたと思っています」

○鷲沢社長:「君は甘い物が好きだ」

●持田主任:「いきなり何でしょう。確かに好きですが」

○鷲沢社長:「君が初日に持ってきた差し入れはマカロンだった。しかも有名ブランドの。結構高かったに違いない」

●持田主任:「よく御存じで」

○鷲沢社長:「デパ地下が好きでな、時々スイーツの店を訪れる」

●持田主任:「そうでしたか! 私もスイーツには目がないです」

○鷲沢社長:「すごく美味しいケーキ屋を知っている。今度、お勧めのケーキを買ってきてやろう」

●持田主任:「ありがとうございます! あ、でも、今は糖質制限をしています。ご飯、麺類、それからケーキも控えていまして」

○鷲沢社長:「糖質制限ダイエットなんてする必要があるのか」

●持田主任:「ダイエットではないのです。糖質をとると血糖値が急にアップして、それから急にダウンします。するとまた糖質が欲しくなります。ショートケーキを食べると、しばらくしてシュークリームとか、プリンとか、食べたくなってきます」

○鷲沢社長:「わかる。ラーメンを食べた後、チャーハンが食べたくなったりする」

●持田主任:「炭水化物もそうですよね」

○鷲沢社長:「お好み焼きをおかずに食べるご飯もうまい」

●持田主任:「糖質をとると、さらに糖質が欲しくなります。我慢すると血糖値が下がってイライラしてきます。そうならないように、あらかじめ制限しているのです。ゼロにはしていませんが、ご飯は少なめ、ケーキは我慢です。タンパク質やビタミン、ミネラルが豊富な野菜を積極的に食べるようにしています」

○鷲沢社長:「糖質とモチベーションは同じだな」

●持田主任:「え」

○鷲沢社長:「モチベーションを上げようと何かを試みると、アドレナリンが分泌される。闘争本能を呼び起こすホルモンだから、あまり分泌していると、かえって疲労がたまってくる。ホルモンバランスが崩れる恐れすらある」

●持田主任:「そ、そうなのですか」

○鷲沢社長:「心当たりがあるだろう。仕事の成果は出ているかもしれないが、だるい気分にならないか」

●持田主任:「実はあります。モチベーションを上げようとすると、体に負担がかかるような感覚が」

○鷲沢社長:「糖質と同じだよ。依存していく」

●持田主任:「どうすればいいのでしょう」

○鷲沢社長:「モチベーションとやらを気にせず、もっと自然体で取り組むことだ。チームで営業目標を達成する。あたりまえのことだ。あたりまえのことをするのにモチベーションなど必要ない」