○鷲沢社長:「AIだ。人工知能だよ。結構な投資になるが、課長たちがプレイヤーに徹すればすぐにペイするだろう」

●日高人事部長:「何を言い出すのですか、ちょっと待ってください。AIに予材管理ができますか。言い訳ばかりする部下たちは手ごわいですよ。人間のマネジャーじゃないと……」

○鷲沢社長:「予材管理は要するにPDCAサイクルを回すことだ。行動計画を決めたり、定期的に部下の行動結果を見て、やり切る習慣のない部下にそのことを指摘したり、過去のデータから訪問経路の改善案を提案したり……。AIのほうが生身の人間よりもはるかに賢くやってくれるだろう」

●日高人事部長:「無慈悲に部下を追及しかねませんよ。パワハラになりませんか」

○鷲沢社長:「どれぐらい執拗にやったらパワハラになるのか、これも過去のデータを参照すればわかる。AIは労務上の問題に関して人事部長の君より詳しくなるかもしれんぞ」

●日高人事部長:「ま、まさか……。といっても我々管理職は過去の経験から判断していますからね。あらゆる経験をデータとして貯め込めたら、それでやれてしまうかもしれません」

○鷲沢社長:「リーダーシップを発揮し、チームを鼓舞するのは人間のほうがいい。機械に褒められてもうれしくないからな。とはいえ、PDCAを回すことはAIでやれる。世の中のマネジャーの90%は将来いらなくなるのではないかな」

●日高人事部長:「人間がやったほうがよいマネジャーの仕事は10%程度ということですか」

○鷲沢社長:「もう一つある。AIを見張るマネジャーがいるな」

凡事徹底はコンピュータに向く

 PDCAサイクルをうまくまわすために、ミドルマネジャーをもっと社内に滞在させようとする経営幹部がいます。部下との接触が増えれば増えるほど、サイクルをうまくまわせると錯覚しているからです。

 だからといってAIを持ち出すとは極論だと思われたかもしれません。しかし、それほど未来の話ではないと私は見ています。

 現在のAIはマネジャーの仕事の相当部分を任せられるレベルに来ているのではないでしょうか。多くの仕事で「臨機応変」よりも「凡事徹底」が求められるからです。凡事徹底はコンピュータに向いています。

 繰り返しお客様を訪問し、信頼関係を築く仕事も凡事徹底が基本ですが、臨機応変の対応がしばしば求められますから人間でないとできません。