○鷲沢社長:「なるほど。ただ、部下に強い姿勢でのぞんでいるという話も聞いたが」

●正田課長:「締まってないなと感じたらビシッと締めます。ただ、いつもそうしているわけではないので、ビシビシやっているのかと聞かれると違うという答えになります」

○鷲沢社長:「それならソフトじゃないだろう」

●正田課長:「なんだか話が噛み合いませんね、社長。部下にコーチングはしていませんよ」

○鷲沢社長:「え、そうなのか」

コーチングは自主性や主体性が乏しい相手には効き目薄

●正田課長:「コーチングは、自主性や主体性がしっかりある相手でないと効果が出にくいのが現実です」

○鷲沢社長:「自主性に、主体性か……」

●正田課長:「私が以前コーチをしていたとき、クライアントの方から1時間で1万2000円ほど頂戴していました。もちろんご自身のお金です。私が今抱えている部下の中に、身銭を削ってコーチングを頼む人がいるでしょうか」

○鷲沢社長:「いないだろうな。金を払ってコーチングを受けたいと思う奴はうちには一人もいないかもしれない。君から見て部下はどうかね」

●正田課長:「何かの行動をする前にそのリスクをすぐ考えますね。『それをするとこうなるかもしれません』といったように。観ている世界がちょっと狭すぎですね」

○鷲沢社長:「行動するリスクばかり考えて、行動しないリスクを考えない、ということだな」

●正田課長:「そうです。それを教えないといけません」

○鷲沢社長:「コーチングではなくティーチングをするわけか」

●正田課長:「はい。とはいえ、ティーチングだけでは駄目ですね」

○鷲沢社長:「え、どういうことだ」

●正田課長:「プッシングが必要です」

○鷲沢社長:「プッシング?」

●正田課長:「部下の話は聞きます。きちんと向き合って傾聴しています。面談記録を見ていただいた通りです。ただし、傾聴をするのは3回くらいです。それを過ぎたらティーチングに入ります。どうすべきなのか、私の意見をハッキリ伝えます。たいていの場合、部下は同意してくれます」

○鷲沢社長:「同意?」

●正田課長:「ですが行動は変わりません」

○鷲沢社長:「同意したら行動を変えるだろう、普通」

●正田課長:「変えませんね。お言葉ですが社長はもっと現場を見たほうがよいと思います。どんなに教えても、やらない部下はやりません。動かない部下は動きません。いくらティーチングしても、こちらがじっと待っていても駄目です」

○鷲沢社長:「うーん」

●正田課長:「せっかくの機会ですから申し上げますが、社長が想像している以上に怠け者が多いです」

○鷲沢社長:「君、怠け者って……。やはり噂通りのショーグンだな」