ビジネスリュックを使うビジネスパーソンが急増しています。一度使った人が「ビジネスリュック以外は使えない」と言うほど便利なアイテムです。
しかし、営業担当者がビジネスリュックを背負って、お客様を訪問してもいいのでしょうか。
メガバンク出身で夏でもスーツとネクタイにこだわる鷲沢社長と、20代の金光リーダーとの会話を読んでみてください。
「ネクタイは訪問直前に締めます」
○鷲沢社長:「君はたしか24歳だったな」
●金光リーダー:「はい。社長」
○鷲沢社長:「最初に会ったとき、Tシャツとジーンズ、それにバスケットシューズという恰好だった」
●金光リーダー:「社内ではサンダル履きでした」
○鷲沢社長:「私が社長として来てから、全員にスーツとネクタイを強制した。これからさらに暑くなっていくが大丈夫かな」
●金光リーダー:「正直に言うと暑くてどうしようもないくらいです。ですからネクタイだけはお客様を訪問する直前に締めるようにしています」
○鷲沢社長:「外回りの間、ずっとネクタイをしているのは確かにきついだろうな」
●金光リーダー:「でも私は営業ですし、大手金融機関に通っていますからこの恰好に納得しています」
○鷲沢社長:「相手と信頼関係を築くには、その人たちの気持ちを理解することから始めないと。相手と調子を合わせる、それが第一歩だ」
●金光リーダー:「そのために同じ服を着てみる」
○鷲沢社長:「そうだ。相手が眉間にしわを寄せるような恰好をしないほうがいい」
●金光リーダー:「相手と調子を合わせるとか、本当はそういうことが嫌いで、スマホのアプリを開発したいと、ここに入ったのですが」
○鷲沢社長:「まさか営業をすることになるとは思わなかったか」
●金光リーダー:「初めはびっくりしましたが、色々なことを覚えたいので大丈夫です。何事も慣れですね。今ではもうTシャツとジーンズで営業に行くなんてできません」
○鷲沢社長:「スーツとネクタイで営業に行ってみると気付くことが結構あるだろう」
●金光リーダー:「どこまでやれているかまだわかりませんが、相談に近い話をしてくれるようになったお客様もいます」
○鷲沢社長:「上出来だ。焦らず訪問を続けてくれ」
「見えている風景が変わりました」
●金光リーダー:「とはいえ、見えている風景が変わってきたのはスーツを着て2週間ぐらい経ってからでしょうか。最初の1週間は本当に嫌でした。1回や2回、やってみてもわからないものですね」
○鷲沢社長:「そうだ。ましてや、やってもいないことに先入観を持って判断してはいかん」
●金光リーダー:「はい」
○鷲沢社長:「ところで君はリュックで出勤しているのか」
●金光リーダー:「ええ。ビジネスリュックです」
○鷲沢社長:「最近、多いな」
●金光リーダー:「社長、質問していいですか」
○鷲沢社長:「なんだ」
●金光リーダー:「ビジネスリュックで営業してもいいのでしょうか」
○鷲沢社長:「突然、どうした」
●金光リーダー:「私は3ウェイのビジネスバッグを使っています。普通に手でも持てますし、ショルダーバッグとしてもいけますし、リュックにもなります」
○鷲沢社長:「ああ、わかる」
●金光リーダー:「お客様のところへ着く直前にネクタイを締める、と言いました。バッグもそうです。近くまではリュックで行くのですが、直前に手で持つバッグに変形させています」
○鷲沢社長:「考えたな」
●金光リーダー:「ただ、外回りをしていて気付いたのですが、ビジネスリュックを持っている人はかなり増えているのです」
○鷲沢社長:「君みたいな若者より、40代や50代のほうが多いのじゃないか」
●金光リーダー:「そんな感じです」
○鷲沢社長:「その一方、リュックを背負って客先に行くなんて失礼だ、非常識だ、と受け止めるのも年配のようだ」
●金光リーダー:「え、そうなのですか」
○鷲沢社長:「あるウェブサイトで調査をしたらそのような結果になった」
●金光リーダー:「じゃあ、やっぱりリュックのままで行かないほうがいいですね」
○鷲沢社長:「そうとは限らん」
時代は変わった
●金光リーダー:「え」
○鷲沢社長:「私がメガバンクにいたころ、みんなゼロハリバートンを持っていた」
●金光リーダー:「あの銀色のアタッシェケースですか」
○鷲沢社長:「もしくは皮のビジネスバッグだ」
●金光リーダー:「いかにも銀行マンって感じですね」
○鷲沢社長:「しかし時代は変わった」
●金光リーダー:「スマートフォンやノートパソコンのせいですかね。アタッシェケースに入れていたら取り出すのが面倒ですし、パソコンのソフトケースも必要になります」
○鷲沢社長:「化学繊維のブリーフケースを使うようになったのはノートパソコンを入れるためだろうな。私も当時、ノートパソコンと沢山の書類を詰め込んで取引先を回った」
●金光リーダー:「当時のノートパソコンは結構重かったでしょう」
○鷲沢社長:「ああ。おかげで腰が悪くなった。だからというわけじゃないが、私もビジネスリュックにしようと思っている」
●金光リーダー:「社長がですか」
○鷲沢社長:「さっきも話に出たが、私のような50代後半のビジネスパーソンに愛用者が増えているそうだ」
●金光リーダー:「スーツに合うビジネスリュックも増えてますね。皆さん、腰痛対策でしょうか」
○鷲沢社長:「それもあるだろうが一番は両手を空けておくとスマートフォンをいじりやすいからだ」
●金光リーダー:「私もリュックのときはスマートフォンを手に持っています」
○鷲沢社長:「それからウォーキングだ」
●金光リーダー:「ウ、ウォーキングですか」
○鷲沢社長:「この年になると毎日ウォーキングをしないと体のコンディションを保てない。リュックを背負えば、外回りや通勤のときにウォーキングができる」
●金光リーダー:「社長がリュックを背負い、腕を振って早歩きをする姿を想像できません」
○鷲沢社長:「まあ、時代は変わったということだ。ビジネスリュックを背負ってきたからといって、眉間にしわを寄せる人は多くないだろう。とはいえ、なんだか感心しない、と思う人もいるだろうから、君と同じ、3ウェイのタイプにしよう。何事にも臨機応変が重要だ」
マナーには注意を
ノートパソコンや資料がそっくり入り、いざというときスマートフォンをさっと扱えますから、ビジネスリュックはとても便利です。
昔と比べてラインアップも豊富になってきており、街で見かけることが多くなりました。
営業が訪問時に使っていても、カジュアルなリュックでなければ、それを見て、「失礼だ」と思うお客様は少ないのではないでしょうか。
もちろん、電車で移動するときには背負っているリュックを必ず下ろすなど、マナーは守りましょう。
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