●明石専務:「社長、ふざけないでください。それからホーロー鍋には重いフタがついていて中の蒸気が逃げません。ですから煮詰まることはありません」

○鷲沢社長:「そうか。煮詰まると君が言うからつい」

●明石専務:「それは失礼しました。ですが、プロジェクトのほうは本当に煮詰まっているのです。いろいろな部署から担当者を集めてアイデアを出し合ってきたのですが……」

○鷲沢社長:「いい人材を集めたのにそうだとすると会議のやり方に問題がある。昨日も夜遅くまで会議をしていたな。出張の帰りにオフィスへ寄ったら、まだ8名ぐらい残っていたから驚いた。何時からやっていたのかね」

●明石専務:「夜7時から始めて10時過ぎまで議論していました。それでも全然まとまらなかったのです」

○鷲沢社長:「3時間も煮込んだら煮詰まるだろう。やはり、ホーロー鍋を使いたまえ。そこまで時間をかけなくても栄養価の高いアイデアが出る」

●明石専務:「もう一度言いますが、ふざけないでください。私は真剣に悩んでいるんです」

○鷲沢社長:「そうかな。とことん真剣に悩んだら、3カ月も4カ月も話し合いを続けられないぞ、普通」

●明石専務:「社長、それじゃあ私たちプロジェクトチームが適当な気持ちで議論してきた、とでも言いたいのですか」

○鷲沢社長:「そうだ」

会議室に出入りするメンバーがいて真剣な会議と言えるのか

●明石専務:「社長! 言っていいことと、悪いことがあります!」

○鷲沢社長:「昨晩の様子をしばらく見ていた。会議室はガラス張りになっているから、外から丸見えだ。会議室に何度でも出たり入ったりするプロジェクトメンバーがいた。座っていても君の話を聞きながらパソコンやスマホを見ているメンバーもいた。あれで真剣だとは思えん」

●明石専務:「……」

○鷲沢社長:「今朝、たまたまメンバーの一人が事務所にいたからちょっと話を聞いた。会議の進行が悪いとはっきり言っていた。準備をきちんとせずに会議が始まり、話があっちへ行ったり、こっちへ行ったりする。場当たり的な会議がだらだら続くから、会議中に仕事の電子メールを読んでいる奴もいれば、会議室の外に出て携帯電話で喋っている奴もいるそうだ」

●明石専務:「そ、それは」

○鷲沢社長:「組織風土を変える施策を決めるだけなのに、いったいどれぐらいの時間をかけるつもりなんだ。会議のやり方も知らんのか、君は。料理と同じように、会議のやり方にもこだわりを見せたらどうだ」

●明石専務:「す……すみません。どうしたらいいですか」

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