「ネクタイについてはみんな諦めました」

●蝶野会長:「スーツとネクタイについてはみんな納得しています。まあ諦めているのかもしれませんが。しかし、お客様のところへ足しげく通え、という社長の指示についてはまだ受け入れられない営業がいます」

○鷲沢社長:「営業の基本は大量行動です。特に新規の取引先を増やすためには、相手と繰り返し接触し、信頼関係を築くことがなにより大事です」

●蝶野会長:「その通りと思いますが、なかなかやらない営業がいるわけです」

○鷲沢社長:「全員ではありませんね」

●蝶野会長:「ええ。9人いる営業のうち、納得していないのは3、4人といったところでしょうか」

○鷲沢社長:「その3、4人を二つに分けたい。大量行動をする意味がわかっている者と、わかっていない者です」

●蝶野会長:「どういうことですか」

○鷲沢社長:「言ったとおりのことです」

●蝶野会長:「大量行動をする意味がわかっているのなら、やると思いますが」

○鷲沢社長:「蝶野さん……」

●蝶野会長:「す、すみません。変なことを言いましたか」

○鷲沢社長:「あなたは日本の、いや世界の金融を変える可能性がある革新的なアプリを開発した」

●蝶野会長:「あ、ありがとうございます。あの、それで」

○鷲沢社長:「だが若い。私の半分ぐらいの年齢だ」

●蝶野会長:「28歳です」

○鷲沢社長:「若いがゆえに組織というものを知らない。人材教育、マネジメント、どちらの経験も足りない」

●蝶野会長:「経験が足りない、というよりは、ほぼゼロです。まったくわかっていません。だから鷲沢社長に来ていただいたのです」

○鷲沢社長:「その謙虚さに感銘を受け、お引き受けしました」

●蝶野会長:「ええと、大量行動をする意味がわかっているができない営業、意味がわからないからやらない営業、二通りあるという話でしたよね。わかっているのにどうしてやらないのか、と私が言ったら、社長から君は若いと言われました」

○鷲沢社長:「蝶野会長、先ほど28歳だと言いましたが、その若さで腰痛を抱えていますね」

●蝶野会長:「え、ええ……そうです」

○鷲沢社長:「慢性ですか」

●蝶野会長:「朝から晩までパソコンの前に座っていますからね」

○鷲沢社長:「同じような開発の仕事をしている人は皆、腰痛持ちですか」

●蝶野会長:「いやいや、それはないでしょう。交流ある同業者に聞くとみんな自分なりに工夫しているようです」

○鷲沢社長:「ほう。腰痛にどう対処すればいいかわかっているのですね」

●蝶野会長:「1時間に1度、体を伸ばしたり、ストレッチしたり、柔軟体操をしたらいいそうです。実はリハビリテーションに通っていまして、そこの先生に言われました」