組織のマネジャーは部下をしっかり教育し、育てなければなりません。部門の目標を達成するために部下をマネジメントすることも求められます。

 ところが、教育とマネジメントを混同している経営者やマネジャーが世の中に多くいます。

 教育とマネジメントの違いがお分かりでしょうか。蝶野会長と鷲沢社長の会話を読んでみてください。

●蝶野会長:「本格的な夏になってきました。私はほとんどオフィスにこもっていますが、社長や営業のみんなは日中、スーツにネクタイを締めて外回り。さぞかし大変でしょう」

○鷲沢社長:「営業の連中はよく我慢してネクタイをするようになりました。創業者の会長がネクタイをするようになったから、やむを得なかったのかもしれませんが」

●蝶野会長:「社長だってネクタイを外しませんよね」

○鷲沢社長:「私はメガバンクにいた時から、いったん仕事に出たら一度たりともネクタイをとったことがありません」

●蝶野会長:「どんなに暑くても、ですか」

○鷲沢社長:「もう習慣ですね」

●蝶野会長:「私もそうなりたいような、なりたくないような……」

○鷲沢社長:「会長の場合、オフィスでアプリの開発をしているときは外していていいでしょう。お客様のところへ行くときだけネクタイをしたらどうですか」

●蝶野会長:「一度とったら、もうつけられないですよ。私がとったら部下もとりたくなるかもしれないし」

○鷲沢社長:「この会社に来てすぐにスーツとネクタイ着用を命じ、1カ月経ちました。会長から見てどうですか」

●蝶野会長:「多くのお客様やパートナー企業から指摘されます。『御社、変わりましたね』って」

○鷲沢社長:「創業3年たらず、スマホアプリを開発するフィンテック・ベンチャー、ところが社員全員がスーツとネクタイをきっちり身に付けている。これで強い印象を外の人に与えることができます」

●蝶野会長:「我々のメインの取引先は大手の金融機関ですから、確かに今までのようにTシャツとチノパンというわけにはいきません」

○鷲沢社長:「しかも決裁権を持つのは私のような50代後半の人物です。そういった人間とうまく調子を合わせていかないとやっていけません。ただし、目に見えるところを変えるのは簡単ですが、営業の意識を変えるのはこれからでしょう」

●蝶野会長:「意識ですか……」

○鷲沢社長:「どうかしましたか」