○鷲沢社長:「個々の作業のスピードそのものが遅いのだろう? ランニングをするとき、腕の振り方を変えると走るスピードも変わる。それと同じだ」

●熊岡課長:「そんな……仕事はランニングとは違いますし。動作が遅いのはそうなのでしょうが、見積もりとか提案とか、頭も使うわけで」

○鷲沢社長:「頭の回転を速くするにはどうすればいい」

●熊岡課長:「……」

○鷲沢社長:「わからないだろう。だから手の動きだ。資料をキャビネットから持ってきて要点をメモするスピードとか。付箋紙にメモ書きして手帳やファイルに貼るスピードとか」

●熊岡課長:「ええ?」

○鷲沢社長:「資料を読むときには、読んでいる場所を指さして読む。読むスピードに合わせて指を動かすのではなく、指を動かすスピードをすこし速めて、読むスピードを上げる。パソコンでメールを読んでいるときも一緒だ」

●熊岡課長:「え、えええ……。指を動かすスピードに合わせて読むスピードを速めるのですか」

人と話すとき、スピーディに手を動かす

○鷲沢社長:「コーヒーを入れるときも、意識して手を早く動かす。人に何か話すときも、スピーディに手を動かして話す」

●熊岡課長:「人に話をするときも手を動かす?」

○鷲沢社長:「私だって、さっきからこういう風に手を動かして君と話しているじゃないか」

●熊岡課長:「ま、まあ、そうですが。しかし……」

○鷲沢社長:「手を激しくスピーディに動かしていると、気持ちが入ってくる。熱を込めた話し方になって、部下を動かせる」

●熊岡課長:「社長はそうかもしれませんが、話すときも手を動かしたりとか、そんな……」

○鷲沢社長:「ほらほら。そういうときも激しく手を動かして、私に話してみたまえ」

●熊岡課長:「ちょ、ちょっと待ってください、社長。からかっているのですか」

○鷲沢社長:「私は真剣に話している。見たまえ。こんなに大きく、激しく、スピーディに手を動かして話している。情熱的に話している証拠だ」

●熊岡課長:「ふざけないでください!」

○鷲沢社長:「熊岡だからって冬眠が近い熊みたいにのんびりやるな。コマネズミのように動きなさい」

●熊岡課長:「やっぱりバカにしてるじゃないですか。何がコマネズミですか。社長だからって、言っていいことと悪いことがあります」