○鷲沢社長:「そこからの経歴は聞いている。金を貯めて独立し、住宅設備関連の会社を設立し、規模を大きくしてから売り、35歳までに一財産つくった」
●小鹿コンサルタント:「恐れ入ります。今のコンサルティング会社に入ったのはまあ、何かの縁ですね。まさか私がコンサルタントになるとは自分でも思っていませんでした」
○鷲沢社長:「根性がすわってるから向いているよ。君がそうなったのは経験によるところが大きいのだろうな」
●小鹿コンサルタント:「その件ですがご質問にお答えすると、ひとつ思い当たることがあります」
○鷲沢社長:「なんだ」
感覚を感情に変換しない
●小鹿コンサルタント:「私は極力、感覚を感情に変換しないようにしています。何らかの刺激があると何かを感じます。それをそのままにしておき、感情に形を変えないようする。そういうことを時々、意識しているのです」
○鷲沢社長:「よくわからんな。感覚と感情ってどこが違う」
●小鹿コンサルタント:「胸のあたりのざわつき、どきどきする感じ。体が熱くなったり、頭が締め付けられるような。うまく言葉にできないのですが、これが感覚です」
○鷲沢社長:「ははあ、面倒くさいとか、いらいらするとか、言葉にできるものが感情ということか」
●小鹿コンサルタント:「はい。感覚を言語に変換したものが感情だと私はとらえています」
○鷲沢社長:「なるほど。だが、感覚を感情に変換しないなんてことができるのか」
●小鹿コンサルタント:「トレーニングすればできます。やってみてはいかがですか」
○鷲沢社長:「無理だ。だいたい、これまで生きてきた境遇が違いすぎる」
●小鹿コンサルタント:「それは関係ありません」
○鷲沢社長:「関係がある! 君にはわからんのだ」
●小鹿コンサルタント:「感情的になってますね」
○鷲沢社長:「うっ」
●小鹿コンサルタント:「私より20歳も先輩なのですから、もう少し冷静になってください」
○鷲沢社長:「ぐっ! く、くそ……。私を試そうとしているな……」
●小鹿コンサルタント:「私の指摘が刺激になって何らかの感覚を覚えたのだと思います。それを面白くない、という感情にせず、感覚のままにしておくのです。できるようになりますよ」
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