●揚羽課長:「ええと誰が何を無視しているのでしょうか」

○鷲沢社長:「顧客が我々を無視している。いいか、会長が開発したフィンテックアプリは確かに素晴らしいものだが、大手のIT企業数社が真似をした製品を出してきた。大手はそれぞれ金融機関に営業攻勢をかけている。サポートや引き合い対応に追われている当社はだんだん見向きもされなくなっている」

●揚羽課長:「マジですか」

○鷲沢社長:「マジだ。似たような製品を持った大手企業が次々にやってきたら顧客はどう思う」

●揚羽課長:「うちの製品にまだ追いついていないはずです」

○鷲沢社長:「そうかもしれん。だが、私が聞いているのは金融機関の担当者がどう思うかだ」

●揚羽課長:「同じ機能の製品だと言われたら大きい会社の話のほうを聞くかもしれません。そうか、関心がないわけではなく、面倒だから来なくていいと言っているのか」

○鷲沢社長:「十中八九、そうだ。今頃気付くなんて分析が甘すぎる。受け身でやっているからだ」

●揚羽課長:「……」

○鷲沢社長:「大手の金融機関の中堅が全員20代のベンチャー企業との付き合いをどう考えるか、君はまったく知らない。受け身で仕事をしていたら相手にされない。君だけでない、当社は全員が世間知らず状態だ」

「いつまでも好調が続く」という勘違い

 商品あるいは事業モデルが優れていて、お客様から次々に引き合いがきている企業は実のところ、非常に大きなリスクを背負っています。

 「いつまでも好調が続く」と勘違いして攻める姿勢を失っていくことです。

 特にずっと右肩上がりで来たベンチャー企業でこのリスクが発生すると危険です。

 お客様から文句を言われるうちが花です。パッシングされるようになったら、取り返しのつかないことになりかねません。