「文句はクレームじゃない!」

○鷲沢社長:「誰が」

●揚羽課長:「え」

○鷲沢社長:「誰が言った」

●揚羽課長:「うちの営業たちです」

○鷲沢社長:「うちの営業たちが、もう来ないでくれと言ったのか」

●揚羽課長:「いやいや違います。金融機関のお客様です」

○鷲沢社長:「だから誰が」

●揚羽課長:「誰が……って」

○鷲沢社長:「確認していないのか」

●揚羽課長:「顧客の誰が言ったかですか。いや、そこまでは……」

○鷲沢社長:「クレームがあったにもかかわらず、誰が言ったのか、特定していないのか。君は営業課長なんだぞ。信じられん。私がかつていたメガバンクだったら君のような課長は」

●揚羽課長:「ちょ、ちょっと待ってください。また声が大きくなってきています」

○鷲沢社長:「君がきちんと話さないからだ。とにかくクレームがあったわけだ」

●揚羽課長:「ええと、正確に言うと、一部のお客様から、そのような文句を言われた、ということです」

○鷲沢社長:「文句はクレームじゃない!」

●揚羽課長:「ひっ」

○鷲沢社長:「『恫喝は止めろ』と言ってみたり、文句とクレームを混同したり、君は言葉の正しい意味を知らないのか」

●揚羽課長:「言い直します。お客様からバッシングを受けているのです」

○鷲沢社長:「クレームの次はバッシングか。君の言葉は軽すぎる。もう少し勉強しろ」

●揚羽課長:「……」

○鷲沢社長:「営業に行き過ぎてバッシングされているわけじゃない、実のところパッシングされている」

●揚羽課長:「車のヘッドライトをハイビームにすることですか」

○鷲沢社長:「何を言っている。パッシングとはパスから来ている。素通りされている、無視されている、という意味だ」