やりすぎを恐れ、攻めの姿勢をなくした経営は大きなリスクを背負うことになります。鷲沢社長と揚羽課長の会話を読んでみてください。

「受注が急減している」

○鷲沢社長:「何度言ったらわかるのか。受注が急減している。金融機関をターゲットにした営業活動がまったくできていない」

●揚羽課長:「声が大きいです、社長」

○鷲沢社長:「地声だ、これは」

●揚羽課長:「当社は創立して3年のベンチャー企業で創業者の会長をはじめ全員20代です。大声の恫喝が効く会社ではないのです」

○鷲沢社長:「恫喝などしとらん。社員を怒鳴らないと会長に約束している」

●揚羽課長:「ですから、そんなに大きな声を出すのは……。みんなに聞こえます」

○鷲沢社長:「聞こえて何が悪い。そもそも恫喝なんて言葉を使うな。大げさすぎる。君は本当に恫喝されたことがあるのか」

●揚羽課長:「営業目標を絶対達成せよ、と大声で言われたことは最近あります」

○鷲沢社長:「過剰反応だ、それは。目標を達成しろと言ったら『ブラック企業』、遅刻を注意したら『パワハラ』、こんな反応が許されるなら経営なんて成り立たない」

●揚羽課長:「あのう、社長こそ過剰反応では……」

○鷲沢社長:「どれほど理不尽なことを言われても私は君たちのことを『モンスター社員』だなんて言わない。君たちも言葉遣いに気を付けたまえ。とくに君は課長だぞ」

●揚羽課長:「す、すみません」

○鷲沢社長:「営業課長としてまず第一に、このような状況に陥った原因を分析し、説明したまえ」

●揚羽課長:「社長の方針に従い、5月中旬から金融機関に対し、かなりの勢いで営業をかけました」

○鷲沢社長:「そうだ」

●揚羽課長:「顧客との接触回数はこれまでの3倍になったかと思います」

○鷲沢社長:「もともとの数が少なすぎたから3倍と言ってもたいした量じゃない」