○鷲沢社長:「本来なら一律の特別手当を出したいところだが、そうはいっても営業ごとに成績のバラつきがある。だから報奨金として一人ひとりに払いたい」
●日高人事部長:「将来への投資にまわしませんか。教育とか」
○鷲沢社長:「まず、営業部の面々に報いることが重要だ。もちろん、教育は教育でやればいい」
●日高人事部長:「営業に報いたいというお気持ちは尊重しますが、それと現金を渡すことは別です。やっぱり下品です」
○鷲沢社長:「さっきから下品下品と、君はくどいな」
●日高人事部長:「札束攻勢がとにかく嫌なのです」
○鷲沢社長:「揚げ足を取るようだが札束というほど沢山出すわけじゃないぞ。要するに、銀行振り込みにしろということか」
●日高人事部長:「報奨金そのものに反対なのです。ただ、どうしても出すと仰るならボーナスと同じ扱いでいいじゃないですか。課税処理もわかりやすいですし、スマートです」
○鷲沢社長:「……妹さんの結婚式は先週末だったかな」
●日高人事部長:「あ、はい。どうしたのですか。突然」
○鷲沢社長:「結婚おめでとう。まだお祝いの言葉を言っていなかった」
●日高人事部長:「ありがとうございます。お陰様で無事結婚できました」
○鷲沢社長:「お兄さんの君もさぞかし嬉しかっただろう」
●日高人事部長:「はい。そりゃあもう」
○鷲沢社長:「ご祝儀も奮発したのか」
●日高人事部長:「もちろんです。たった一人の妹でしたから」
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