○鷲沢社長:「どうした。みんなのために進言するのじゃなかったのか。私から言ってやろう。君の課の達成率は昨年87%。今年はこのままいくと80%を切りかねない実績だ」

●雛形:「そ、それは既存のお客様の取引が激減しているからで……」

○鷲沢社長:「そんなことはわかっとる! だから今年のはじめ、新規顧客を開拓しようと有望な顧客70社のリストを業者から購入した。それでどうなったのか」

●雛形:「……」

○鷲沢社長:「2月になっても、3月になっても、新規の顧客まわりを全然していない。そもそもリストを購入してほしいと言ってきたのは君たちだというのに。4月になってもアプローチした顧客はたった12社。既存顧客の応対が忙しいと言っているうちに、既存顧客からの仕事は減り続けている。以上、間違いがあるか」

●雛形:「そ、その通りです」

○鷲沢社長:「だから5月から課長をショーグンに交代させた。カンフル剤としてな」

●雛形:「でも、ひどいカンフル剤ですよ。さっきのような発言を繰り返すばかりで、我々の声を聞こうともしません」

○鷲沢社長:「ここに面談記録がある。ショーグンは君たちと一人ひとりと面談をした。そのときは話を聞く姿勢をとっている。君も最初の面談ではショーグンの話をよく聞いているぞ。見るか、これ」

●雛形:「そ、そうでしたっけ」

○鷲沢社長:「だが、どんなにショーグンが聞く耳を持っても、君たちの行動はいっこうに変わらなかった。モチベーションがダウンするとか、やる意味がわからないとか、どうせうまくいかない、とか言い続けた。違うか」

●雛形:「ううう」

○鷲沢社長:「ショーグンは給料ドロボーなんて言っていない。もらってる給料の3倍から5倍は稼がないと駄目だと言っただけだ。他の連中にも確認した。まだ何か言いたいか」

●雛形:「ええと、ありません」

○鷲沢社長:「結構。仕事に戻ってくれ。そうだ、一つ言っておく。金輪際、私の前で『やらされ感』という言葉を使うな。やることも全然やらないのに、何が『やらされ感』だ! こっちは給料『払わされ感』があるわ!」

●雛形:「す、すみません」

○鷲沢社長:「結果が出ないなら、どうしたらいいか一緒に考えよう。だが、決められた行動をせずに文句だけ言いにくるなんて言語道断だ。みんなにもそう言っておけ」

●雛形:「返り討ちにあったと伝えます……」

たまには「ぴしゃり」と言い返す

 「刺激馴化」という言葉があります。同じような刺激を受け続けると、その刺激に馴れてしまう心理現象です。上司に文句を言うのは、ある意味「刺激」です。最初のうちは気が引けても、上司が言い返さないと、部下はその刺激に馴れてしまい、エスカレートしていきます。

 部下を力づくで押さえつけるような行為はいけませんが、黙って聞いているだけだと部下が勘違いをする危険があります。たまには「ぴしゃり」と言い返しましょう。部下をモンスターにさせないためにも必要なことです。