「『組織改革はわれわれの手で』なんて到底言えない」

○豪傑寺部長:「犬神専務が始めた新規事業をどう思う」

●猫山課長:「……ええと、今ひとつかと」

○豪傑寺部長:「今ひとつどころか全然だ。始めて3年にもなるが、いまだに赤字を垂れ流している。だが、犬神専務は亡くなった先代社長の息子さんだ。あの鷲沢社長でさえ何も言えないでいる」

●猫山課長:「新規事業に営業を3人も持っていかれましたが誰も異を唱えませんでしたね」

○豪傑寺部長:「私に責任があるが、われわれ営業部の建て直しも進んでいない。『組織改革はわれわれの手で』とはとても言えない」

●猫山課長:「部長はお優しいですから……」

○豪傑寺部長:「先代社長が生きていたときは、社長が組織を厳しく統括していた。私は30年近く調整役だった。強烈なリーダーシップで組織を改革する力はない」

●猫山課長:「……」

○豪傑寺部長:「経営企画室のことは知っているか」

●猫山課長:「新しい室長の件ですよね」

○豪傑寺部長:「犬神専務が銀行マンの叔父さんに声をかけ、新室長に招いた。はっきり言って新室長になってから企画室の空気が悪くなった。社長も頭を抱えている」

●猫山課長:「社長も銀行出身ですが、話が合わないらしいですね」

○豪傑寺部長:「社長はメガバンク出身、犬神専務の叔父さんは地銀から来た人だ。そのせいかもしれないな」

●猫山課長:「そういうものですか。ややこしそうですね」

○豪傑寺部長:「犬神専務の叔父さんは、鷲沢社長が推し進める『予材管理』に反対している。目標を絶対達成させるという考え方も『時代遅れだ』とこき下ろしている」

●猫山課長:「ひええ」

「いい加減、腹をくくってくれ」

○豪傑寺部長:「君ならどうする。自分で改革するか」

●猫山課長:「……」

○豪傑寺部長:「どうすることもできないだろう。私も君も組織改革なんて素人だ。塩を塗ったり、蜂蜜をなめたりしてもダメだ」

●猫山課長:「だからといって外部に頼むなんて」

○豪傑寺部長:「くどいぞ。いい加減、腹をくくってくれ。君はコンサルタントが当社へやってくることが嫌なだけだろう」

●猫山課長:「そ、そんなことはないです。コンサルタントに支払う報酬って、結構な額じゃないですか。任せたって成功するかどうかわからないのに」

○豪傑寺部長:「うまくいくかどうかもちろんわからないが、少なくとも私たちがやるよりマシだろう。自分の体のことは自分が一番わかっていると考えがちだが、君だって間違った治療をしていたじゃないか」

●猫山課長:「それとこれとは……」

○豪傑寺部長:「気持ちはわかる。私だって忸怩たる思いだから、さっき本音では反対と言った。だが、もう待ったなしの状態だ。鷲沢社長がやるというなら私は協力する。鷲沢社長だって当社にいつまでいるかわからないぞ。改革を終えたら専務に社長の座を譲るつもりだろうから」

本当に「任せてほしい」と思っているのか

 「外部のコンサルタントに頼むぐらいなら、私たちでやります」「任せてください」。社内からこんな声があがり、コンサルタントへの依頼を中止する。

 私はコンサルタントですので、今回の対話のような状況に出会うことが多々あります。私の立場からすると、社内の抵抗に遭い、せっかくのコンサルティング提案が流れてしまったということになります。

 残念ではありますが、ご自身たちで自分の組織を変えられるのであれば、それが最善だと私も思います。

 「自分たちでやります」「任せてください」と言う意気込みは結構です。ただし、本当に「任せてほしい」と思っているのか、「社外の誰かに任せるのは嫌だ」と言っているだけなのか、区別しなければなりません。

 後者だとすると、任されたとしても、少し努力するぐらいのことで終わりかねません。当然何も変わりません。

 「自分でできます」「任せてください」と言う前に、自分が本当にどう思っているのか、自問自答が必要でしょう。