問「なぜ今、自主性よりも強制?」
答「社員を成長させるためには、上からの圧力も必要だ」

M:ただ、今の時代、量をこなせ、目標を「絶対達成」しろと上から言われると、パワハラのように受け取られるかもしれません。今どきの若者は、自主性が大事と言われて育っています。実際、IT知識などを生かして自ら会社を立ち上げ、働きやすい会社を作って成果を追う新しい企業も生まれています。

横山:例えば社長もTシャツを着てサンダルを履いて、ネット関連事業を手がけて、「楽しくやろうぜ!」と言って若い社員がVサインを掲げている企業ですか? そういう乗りは何年続くのかな、と思いますけれど。

M:そうでしょうか。スタートアップの企業が成功して、存続する例も。

横山:それは企業として強い組織に変わっていくから続くのです。先ほど、企業のライフサイクルの話をしましたが、最近はそのスピードが格段に上がっています。起業して頑張って成功しても、すぐに成熟期が訪れます。成功をおさめた後、ほっとしてぬるま湯のような空気や風土にしてしまうと、次にチャレンジすべき時期にもう一度がむしゃらに頑張るのは大変なことです。

M:やる気を出すために、自主性も尊重しないと。

横山:本当に自主的に動けるならいいです。でも企業にコンサルティングに入ると、管理職が「若手の自主性に期待しているのだがなかなか動いてくれない」と嘆いている例にしょっちゅう出くわします。そこで若手に聞くと「上から何も言われていない」と言う。管理職は「いや、言っている」と。おかしいでしょう。つまり、足りないのです。2、3回言っただけじゃダメ、200回でも300回でも、動くまで言わなければ。新しいこと、本意でないこと、苦手なことをやろうとすると、なかなか動けない。でも、仕事だからやれ、と言ってやらせる。実際に動き出してみると、動けるようになっていきます。自主性に期待するのはその後です。

M:とはいえ、上からの締め付けが厳しいと、人も組織も疲弊しそうです。

横山:私は、社員にとっていい会社とは、自分のポテンシャルを引き出してくれる、成長させてくれる会社だと考えます。アスリートに例えると、いいコーチとは、「お前ならもっと早く走れる」と言って、自分の記録を伸ばす手助けをしてくれる人です。成長を実感できれば、人はもっと努力できる。そのためなら、負荷の高い練習メニューも自ら望んでこなせるようになるのです。自主性を尊重し、締め付けない、でも社員は成長できない、私はそれがいい会社とは思いません。

M:連載に出てくる大リーグ出身の球田コンサルタントはやたらと厳しいですが、横山さんから見ると、いいコーチだと。

横山:もちろん人にもタイプがありますから、自主性に任せたほうがいいタイプか、強制してでもやらせたほうがいいタイプか、見極めて接することが大事です。ただ、今は世間の空気が完全に自主性尊重ですから、少し強制を重視したほうがいいのではないかと考えて、球田コンサルタントのキャラクターをストロング系にしています。