問「なぜ今、質より量」
答「成長には『量』での勝負が欠かせないのです」

M:横山さんは、今の働き方改革をはじめ、世の中がユルいほうに流れているという認識をお持ちですか?

横山:あります。例えば、働き方改革にしても、今まで1日10時間働いていたところを9時間、8時間にしようという流れがあります。でも、大事なのは成果でしょう。成果も出ていないのに時短を進めるのは手順として間違っている。今までのやり方で成果は出せた、次にそれをどうやって短くしていくかという話ならいいですが。

M:おっしゃることの意味は分かりますが一方で長時間労働がつらいという現場も。

横山:行政書士の試験勉強には最低1000時間が必要と言われます。これを1年でやるとすると平日2時間、土日は5時間で50週。仕事をしながらこれだけ勉強するのは大変だとは思います。それだけやったのに合格しなかった場合、「1日2時間はつらかったから1日1時間にしよう」となりますか。いやいや合格してないでしょ、なのに勉強時間を減らしてそれで合格するの? という話です。最低努力投入量は維持し、必要なら増やしてでも合格することが大事でしょう。仕事だって同じです。目標を達成してから工程を見直すべきです。

M:まずは「質より量」ということですか。

横山:努力して目標を達成する、その経験を繰り返し何度も積まないと、工程を工夫して質を高める知恵など生まれません。最低限の努力投入もせずに、諦める人が多すぎるのではないでしょうか。会社を立ち上げて頑張ってきた経営者のような人ほど、そのことを経験として分かっているはずです。

M:確かに、今の日本の企業を見るとサラリーマン社長が増えて、チャレンジ力が落ちている、全体にハングリーさがないようにも思えます。

横山:私は会社のライフサイクルは4つに分けることができると考えています。すなわち「導入期」「成長期」「成熟期」「衰退期」です。「導入期」から「成長期」にかけては、どの会社も頑張って勢いがあるから空気もいい、自然と伸びていきます。しかし成熟期に入ると停滞していく。「成長期」が終わる前に、次の成長に向けて新たな挑戦を仕掛けなければ衰退します。「導入期」「成長期」に必要なのは量です。「成熟期」に入ると質が問われるのですが、そこでもう一度成長しようというなら絶対に量が必要です。ちょっとだけやってうまくいかないから諦めているようでは、次のステージに行けません。

M:その「量」は何を指しますか?

横山:既存の顧客に新しい商品を投入するとしましょう。その際、どんな商品を投入するか、商品企画を練り、売り込む方法を考える。何度も試行錯誤を重ねて、どのくらいの努力投入量が必要か、見極める。こうした、あらゆる場面において回数と時間、すなわち「量」が必要です。

M:とはいえ、長時間労働にも注意しないと。

横山:働き方改革にも通じる話ですが、会議ばかりだらだらやっているムダは無くすべきです。本当の意味で、お客さんのために働いている時間がどれだけあるか、見直したほうがいい。

M:ムダな会議は労働ではないと。

横山:それはそうでしょう。誤解を恐れずに言うと、残業ゼロが目的であってはいけない。すべての仕事が定時にきっちり終わるわけではないでしょう。お客さんのために働く時間、社員としての能力を磨く時間はきちんと確保し、しっかり働き、学んで結果を出す。そのうえでの長時間労働対策であるべきだと思います。ムダな会議を止めずに残業だけ無理やりゼロにしたら、仕事の質も社員の能力も落ちます。