一を聞いて十を知ると言います。同じ「一」を聞いて「十」を理解できる人と、「一」しか理解できない人とでは仕事の成果がまるで異なってきます。

 前者の人は頭の回転が良いと思われがちですが、重要なことをよく覚えている人でもあります。一を聞いて、関連する情報をすぐさま頭から引き出し、十にしてしまうわけです。

 記憶のためにはメモが有効です。ただし、どんなにメモを取っても、いちいち見返さないと重要なことを思い出せないようでは意味がありません。

 今回は鷲沢社長と熊岡課長とのバトルです。意外にも熊岡課長は並外れた記憶力を持っています。ところがその力を仕事でまるで発揮できていません……。

●熊岡課長:「社長、ABC海運との商談で準備することはありますか。来週の月曜日ですが」

○鷲沢社長:「過去の商談履歴が営業支援システムの中に入っている。その履歴を確認し、これまでのキーパーソンの発言をまとめておいてくれ」

●熊岡課長:「わかりました。……ええっと、営業支援システムで、履歴を確認する、ということですね」

○鷲沢社長:「特に失注したケースが重要だ。何が問題だったのか、洗いだしておくように」

●熊岡課長:「失注したケースが、重要……と、いうこと……ですね。どういう……ポイントが、問題だったのか……を、洗い出す……と」

○鷲沢社長:「メモをとることにしたのか」

●熊岡課長:「はい。言われたことをすぐ忘れてしまうもので」

○鷲沢社長:「課長になって業務量が多くなったからだな。メモは大事だ」

●熊岡課長:「はい。心掛けていきます」