「ファクトが何よりも重要」

○犬神専務:「確認しなかったことは認めるが1人でもそういう社員がいるのだったら問題……いや1人もいないわけか」

●球田コンサルタント:「ファクトが何よりも重要。事実で物事をとらえる習慣を身につけてください」

○犬神専務:「言っていることはわかるがなかなか」

●球田コンサルタント:「あなたはキャッチャーです」

○犬神専務:「は」

●球田コンサルタント:「自分に投げられたボールかどうかを見てください。そこらへんを飛んでいるボールまで取りに行ってはいけません。次期社長なのですから」

○犬神専務:「動くな、ということですか」

●球田コンサルタント:「ええ。壁になること。どっしりした頑丈な壁に」

○犬神専務:「わかりました。ところで球田さん、X理論Y理論の話はわかりますか」

●球田コンサルタント:「ダグラス・マグレガーですね」

○犬神専務:「ええ。人間はそもそも怠惰な生き物であるから放っておくと仕事をしなくなる。だから厳しく指導したほうがいい。これがX理論」

●球田コンサルタント:「人間はそもそも自己実現の欲求を満たすために自ら進んで問題を解決しようとする生き物。自主性を尊重しつつ指導したほうがいい。これがY理論」

○犬神専務:「球田さんは指導するとき、どちらの考えをお持ちですか。XですかYですか」

●球田コンサルタント:「話にならない。まったく意味がない質問だ」

○犬神専務:「失礼な! 私は真剣に考えている」

●球田コンサルタント:「今から2分、時間を差し上げる。かなり深く考えられるはずだ。このスマートフォンで計ります。いいですか」

○犬神専務:「2分で結論が出る話ではない」

●球田コンサルタント:「人を有能かどうかで判断するのではなかったのですか」

○犬神専務:「あなたは本当に有能なのか」

●球田コンサルタント:「少なくとも深く考えるのに2分もかけることはない」

○犬神専務:「え」

次ページ 「2分以上考え続けたら堂々巡りになる」