「クレームを言ってきた人数を数字で言え」

○犬神専務:「営業部長から聞いただけです。具体的な数まで確認しなかった」

●球田コンサルタント:「ある営業がお客様のところへあまり行かない。理由を問い質すと『足しげく通っていたらクレームを言ってきたお客様が何人かいた』と言ってきた」

○犬神専務:「……」

●球田コンサルタント:「私は聞いた。クレームを言ってきた人数を数字で言えと」

○犬神専務:「数人ではなかったとか」

●球田コンサルタント:「その通り。1人だけ。発言内容を確認したところ、嫌味を言われた程度。クレームですらなかった」

○犬神専務:「何を言いたいのですか」

●球田コンサルタント:「辞めたいという営業が何人かいる。クレームを言ってくるお客様が何人かいる。そんなあいまいなことを言われても私は動じません」

○犬神専務:「クレームかどうかはさておき、実際に辞めたいという営業がいることは確かで、それはそれで問題でしょう」

●球田コンサルタント:「誰かわかっています」

○犬神専務:「なんですって」

●球田コンサルタント:「『クレームを言ってくるお客様が何人かいた』と言ってきた営業です。辞めたいと言っているのは彼1人だけ」

○犬神専務:「どうして言い切れるのですか」

●球田コンサルタント:「調査済みですから。厳密に言うと辞めたい営業は今、ゼロです。辞めたいと言った本人を呼び出して面接したらいきなり謝ってきました。私は何も質問していないのに」

○犬神専務:「……」

●球田コンサルタント:「さきほど専務は私がこの会社に来てから色々と問題が発生していると言った。色々とは何と何ですか」

○犬神専務:「ぐ」

●球田コンサルタント:「あなたも営業も物事を大げさにとらえ、過剰反応しすぎる。そんなことでは次の社長を任せられない」

次ページ 「ファクトが何よりも重要」