「じっくり」という副詞があります。落ち着いて念入りに何かをする様子を指します。例えば「証拠の品が散逸しないように現場をじっくり点検した」という風に使います。

 じっくり何かに取り組むのは良いことでしょう。ですが「じっくり考えます」と発言する人に出会うと私は気になります。じっくり考えるのは本当に良いことでしょうか。いや、そもそもじっくり考えることは可能なのでしょうか。

 今回のバトルは「じっくり考える」についてです。悩み多き多摩部長と鷲沢社長との会話を読んでみてください。

●多摩部長:「4月から新規顧客の開拓に営業の軸足を移しました。これからきっちり新しいお客さまとの取引を増やしていきます」

○鷲沢社長:「頼んだぞ」

●多摩部長:「はい。4月に入ってから営業部は全員、気合いが入っています」

○鷲沢社長:「それはよかった。既存顧客の対応も抜かりなくやってくれ」

●多摩部長:「え?」

○鷲沢社長:「どうした」

●多摩部長:「社長、今お伝えしたとおり、4月から新規の開拓に軸足を移しています」

○鷲沢社長:「わかっている。これまで既存のお客様対応ばかりやってきたが新規の顧客開拓は絶対に必要だ。だからといって既存のお客様をないがしろにしていいわけじゃない」

●多摩部長:「それはそうですが……」

○鷲沢社長:「なんだ」

●多摩部長:「先ほどお伝えしたとおり、4月からは新規開拓に注力しようと……」

○鷲沢社長:「わかったとさっきから言っている。何を言いたいのかね」