仕事熱心で、あれこれ考えるマネジャーでありながら、部下を統率できない人がいます。態度は真面目なのですが、どこか自信がありません。

 自信の無さは言葉づかいに表れます。いわゆる“草食系”の豪傑寺営業部長と鷲沢社長の会話をお読みください。

●豪傑寺部長:「社長、4月の業績を報告したいと思います。4月はといいますと……外部環境の問題などがございまして、なかなか順調というようにはいかず、芳しくない部署がそれなりに結構あるわけでございます。つまり、ロケットスタートという風にはいかないようでして、それでですね、こちらの資料にありますとおり……」

○鷲沢社長:「……」

●豪傑寺部長:「……このような事情があり、営業部署によっては目標未達の懸念が表に出てきているという風に思われるのでありまして、そう簡単にはいかない、と課長らも言っておるのですが、そうは言っても今期がスタートした4月のあたまには、なんとかやり切っていこうというように、みんなで話していたわけでございますから、このままではいけないと思うものの、正直、今月についてはいかんともしがたい感じになっていると思われるのです」

○鷲沢社長:「おい」

●豪傑寺部長:「そういう風な背景がございますので、なんと言いますか、その、なかなかうまくいかないとは思われるものの、とりあえず、今月の業績はと言いますと……。ええと、こちらの資料を見てくださいますか」

○鷲沢社長:「はやく言わんかっ」

●豪傑寺部長:「ひゃっ」

「都合の悪いことを話そうとすると、まわりくどい喋り方になる」

○鷲沢社長:「何を驚いている」

●豪傑寺部長:「だ、だってそんな風に大きな声を出されますと、その……。いえいえ私だけではありません。他の人だって普通は驚かれるものと思われます」

○鷲沢社長:「もういい。普段はそんな話し方じゃないだろう。都合の悪いことを話そうとするときだけだ、君がそんなまわりくどい喋り方になるのは」

●豪傑寺部長:「そうは言われても私になりに話していると思いますが、なかなかうまくお伝えできていないでしょうか。私なりに話そうとしても、社長が途中で茶々を入れてくるので、うまく話せなくなってしまうのではないかと思われるのですけれども」

○鷲沢社長:「もういいと言ったのが聞こえなかったのか。まず、一つのセンテンスを短くしたまえ。一文が長すぎる」

●豪傑寺部長:「これでも短く話しているつもりですが、それでも長いと仰るのですか」

○鷲沢社長:「長い。意味もなく文と文をつなげるな。『短く話しているつもりです。それでも長いと仰るのですか』と言え。いや、『短く話しているつもりです』だけでいい」

●豪傑寺部長:「そういう風に話しているとは思っているのですけれど、そうは聞こえないのですね」

○鷲沢社長:「『そう話しているつもりです』だ。君は語尾に『思う』や『思われる』を付け過ぎる」

●豪傑寺部長:「『思う』『思われる』を使い過ぎて話しているということでしょうか。そんな風に話しているとは思わないのですけれども、そうおっしゃるなら、そうかもしれないと私も思うわけでして」

○鷲沢社長:「止めろ。話が進まん。さっさと今月の業績を報告したまえ」

●豪傑寺部長:「先ほどもお話したとおり、4月からロケットスタートしようと思ったのですが、どうもそれができなかったように思われますが、それは仕方のないことだと受け止めたいと思っております。しかしながら、そういう風に言いながらも、私としては、それなりに頑張ったところを認めていただきたいという風にも思っておりましてですね、そこで今月の業績なのですけれども……」

○鷲沢社長:「早く言え!」

●豪傑寺部長:「え、ええと……現時点では売上目標は92%の達成率で着地しようとしておりますが、それでですね、利益目標となりますとこちらは85%の達成率でして、ただ……その、既存のお客様のリピート率は昨年よりも若干上がっておりまして、それが今後どのように業績に良い影響を与えるかと申しますと……」

○鷲沢社長:「おいおいおい!」

●豪傑寺部長:「な、なんですか」